日本商工会議所は2019年12月27日、12月の商工会議所LOBO(早期景気観測)調査結果を発表した。12月の全産業合計の業況DIは、11月から2・6㌽悪化のマイナス29・4となった。調査期間は12月12~18日。全国338商工会議所の会員企業2024社から回答を得た。
調査結果では、都市部の再開発を中心とする民間工事は底堅く推移する一方、消費税率引き上げ後から受注の減少も見られる建設業や、米中貿易摩擦・中国経済減速の影響が長引き、工作機械や産業用機械、自動車関連を中心に不振が続く製造業が全体を押し下げた。消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動減の影響が落ち着き始めたとの声も聞かれる一方、消費者の節約志向の強まりや、世界経済の先行き不透明感、深刻な人手不足や人件費の上昇が引き続き中小企業のマインドを下押ししており、業況改善の動きは依然として力強さを欠いている。
ヒアリングした企業からは、「消費税率引き上げによる消費低迷を受け、売り上げが伸びない」(舗装工事)、「消費税率引き上げによる影響が残っており、売り上げが悪化」(衣服・日用品卸売)、「仕入れ単価の値上がりなどもあり、消費税率引き上げによる消費の停滞はしばらく続くのではないか」(贈答品・生活雑貨小売)といった消費税率引き上げの影響を訴える声が寄せられた。また、「売り上げの確保が難しい。しかし、人手不足が深刻化する中、技術者確保のためには冬の賞与を減らすわけにはいかず、昨年並みの支給を考えている」(一般工事)、「原材料価格の高騰、人手不足の影響が続いており、厳しい状況」(自動車・付属品製造)といった人手不足の影響を訴える声も聞かれた。
先行き見通しDIは、12月から1・6㌽改善のマイナス27・8となった。年末年始の商戦を契機とする個人消費拡大やインバウンドを含めた観光需要拡大への期待感がうかがえる。一方、消費税率引き上げの影響や、人件費の上昇や受注機会の損失など人手不足の深刻化の影響、原材料費の上昇、コスト増加分の価格転嫁の遅れ、貿易摩擦や世界経済の動向、日韓情勢の行方など不透明感が増す中、中小企業の業況感は慎重な姿勢が続く。
最新号を紙面で読める!