日本商工会議所は12月20日、吉川貴盛農林水産大臣との懇談会を都内で開催した。日商の三村明夫会頭は、地方創生実現のための重要な柱として農林水産業の再活性化を挙げるとともに、農商工連携のさらなる拡大が不可欠である点を強調。農商工連携を進めるに当たって課題となる販路開拓や商品の規格・量の確保に向け、資金面や専門家派遣に対する支援を要望した。また、ITを活用したスマート農業の推進に向け、技術開発と社会実装を同時並行で進めていくとともに、その横展開も図るよう求めた。
懇談会には日商から三村会頭はじめ、山本亜土副会頭(名古屋・会頭)、上野孝副会頭(横浜・会頭)、家次恒副会頭(神戸・会頭)、鎌田宏副会頭(仙台・会頭)、深山英樹副会頭(広島・会頭)、福田勝之副会頭(新潟・会頭)、岩田圭剛副会頭(札幌・会頭)、藤永憲一副会頭(福岡・会頭)、泉雅文副会頭(高松・会頭)ら13人、農林水産省からは、吉川大臣はじめ、小里泰弘副大臣、高鳥修一副大臣、濱村進政務官、高野光二郎政務官ら幹部16人が出席した。
三村会頭は、人手不足や高齢化、事業承継といった中小企業を取り巻く課題について説明。地方創生に向けて商工会議所としても農商工連携を推進していく考えを述べた。また、農地・山林の所有・活用や漁獲管理の新たな制度の実施について、現場の実態に即した仕組みづくりを進めることや、中国など日本産食品の輸入規制を続けている国・地域に対して、緩和に向けた働き掛けを粘り強く続けていくことを要請した。
吉川大臣は、日本の農林水産業が転換期を迎えている中、農林漁業者の所得向上が図られ、若者にとって魅力ある成長産業となるよう取り組んでいくとともに、中小企業と農林水産業者の連携による新商品の開発・製造・販売さらには輸出といった動きをしっかりサポートしてく方針を示した。また、農業についてはロボット、ドローンといった新技術の現場実装、林業については4月から稼働する民有林を対象とした新たな森林管理システムの円滑な導入、水産業については漁船ごとの漁獲割当制度による適切な資源管理と漁場の適切・有効な利用推進に取り組んでいく考えを表明した。
意見交換では、日商側から農産品・加工品のブランド化、株式会社による農地の直接所有、食品輸出支援、所有者不明山林対策、国産材の利活用、IT・ロボットの活用推進などについて発言した。
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