2025年11月、ゾンビ先生は台湾に来ていた。新竹市にある国立清華大学で開かれた「第14回ACG文化とテクノロジー(ACGCT)」で、基調講演を務めるためだ。ACGCTは、12年に始まった国際シンポジウムである。
ACGとは、アニメ、コミック、ゲームの頭文字だ。日本のサブカルチャー全般を指す言葉として1990年代半ばに台湾で生まれ、アジア圏に広がったという。講演タイトルは「アニメ聖地巡礼・ゾンビ・VTuberの研究から得られる視点」。会場は温かい雰囲気で笑いに包まれ、講演終了後はさまざまな人々と交流できた。
翌日は台北市に移動し、公営テレビで放送するVTuberの特集番組を収録。VTuberに関する講義を行い、清華大学副教授の王威智先生(VTuber角巻わためさんの大ファン)との対談に臨んだ。終了後、台北のまちを散策した。「アニメイト」「とらのあな」などの日本のACG文化に触れられる店が充実している。日曜日ということもあり、アニメイトには多くの若者が詰めかけていた。
第14回ACGCTは11月下旬から京都の立命館大学でも開催され、いずれの会場にもさまざまな国と地域から多様な立場の人々が集った。ACGCTには三つの軸がある。「地理的空間の融合」「文化と技術の統合」「学術と産業の協働」だ。いち早くこの重要性に気付き、14年間も開催をけん引してきた梁世佑先生を尊敬するばかりだ。こうしたイベントの誘致はMICE振興にも一役買うだろう。
日本のメディア・コンテンツに対して、これほどまでにリスペクトし、真剣に向き合う人々が世界中にいる。その源泉を生み出してきた日本はどうするべきか。そして、自分はどうするべきか。ゾンビ先生は、日本でも、メディア・コンテンツに関する研究を自由に発表でき、産学官民の垣根を越えてディスカッションや交流ができる場をつくりたいと考えている。26年はその本格始動の年としたい。

