「スーパーゼロ」という軽量で吸水性抜群の撚糸(ねんし)を開発し特許を持つ、浅野撚糸株式会社の浅野雅己社長が、「徳」について語ったことがあります。
「徳」とは、思いやり、誠実さ、勇気、公正さといった道徳的に価値のある特質を指し、他者や社会に良い影響を与える行為(善行)全般を意味します。浅野氏は「運」の大切さと、運をもたらすために「徳」を積むことの重要性をよく話されていて、「徳」積みの考え方について、次の三つを説いています。
①自省。常に自分や自社を顧みること。自分の非を認めず他人のせいにしていると、「徳」が減ります。
②大義。人の価値観、基本的信念や理念が正しい場合は、自分の思う大義に突き進めば「徳」は積まれます。人に迷惑をかけてもいいなどと、自分勝手な考えを大義として掲げても、「徳」を積むことはできません。
③苦労。苦労は自分の慢心や見えという心の毒素を取り除き、謙虚という清浄な「徳」をため込む器になります。苦労していない人は、「徳」の存在すら気付きません。
この考えは、オンリーワンの製品開発や、被災地での工場建設などを行ってきた浅野氏の経営哲学に反映されているように感じます。特に苦労をすることで自分が謙虚になる、という経験は私も重ねてきた気がします。
