日本・東京商工会議所など経済3団体は7日、新年祝賀パーティーを都内で開催した。パーティー終了後に行われた経済3団体トップによる共同記者会見で日商の三村明夫会頭は、今年の景気見通しについて、「潜在成長率並みの1%程度でいくのではないか」とコメント。リスク要因として米中貿易摩擦や英国のEU離脱、米国議会の混迷といった点を指摘した。また、最大のネックとして人手不足を挙げ、「働く意欲のある高齢者や女性含め、ありとあらゆる手段を講じて日本の労働力不足に対処しなければいけない」と述べた。
日商・東商、日本経済団体連合会、経済同友会による毎年恒例の新年祝賀パーティーには、全国の経営者ら約1800人が出席し、安倍晋三首相も駆け付けた。安倍首相は、「今年はしっかりと経済の足腰を強化していくことが求められている」と述べ、経済の好循環の実現に取り組んでいく考えを示した。
共同記者会見で三村会頭は、今年の課題として、「深刻な人手不足の解消」「事業承継」「地方創生」の3点を指摘。人手不足については、多様な人材の活用だけでなく、中小企業における生産性向上の重要性も強調した。事業承継については、「一昨年の法人事業者向け事業承継税制改正は非常に奏功した」と述べ、さらなる施策の利用に期待を寄せた。地方創生については、デジタル技術の進展などによる農林水産業の再生や外国人観光客によるインバウンドの効果についてコメントした。 政府には、賃金が上がっても消費が増えない理由の一つとして、国民が将来に対する不安を抱いていることから、若者が将来に対する希望が持てるように、「今日の安心」から「将来の安心」に政策の重点を移すよう要望。また、社会保障の抜本改革も求めた。
賃上げについては、中小企業の付加価値の大部分が賃金に向けられ、利益が上がらないと賃上げする原資がないことから、「賃上げのためには、生産性を向上させなければいけないし、大企業に対しては取引価格の是正を強く求めたい」と述べた。
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