日本商工会議所は2018年12月28日、12月の商工会議所LOBO(早期景気観測)調査結果を発表した。調査期間は12月12~189日。全国423商工会議所が3733企業にヒアリングした。
12月の全産業合計の業況DIは、マイナス15・7と、11月からマイナス0・8㌽のほぼ横ばい。建設業や設備投資に加え、自動車や産業用機械関連が堅調に推移する状況が続いているほか、インバウンドを含む冬の観光需要の増加を指摘する声も聞かれた。他方、人手不足の影響拡大や原材料費の上昇、根強い消費者の節約志向が引き続き中小企業のマインドに影響を及ぼしており、業況改善に向けた動きには足踏み状況が見られる。
ヒアリングした企業からは、「技術者のほか、交通誘導員の人手不足も深刻なことに加え、需給ひっ迫を背景に、生コンクリートなどの資材の確保にも難航している。このままでは工期の延長は避けられない」(一般工事)、「人手不足が最大の経営課題であり、応募自体が少ないことに加え、ようやく採用できたとしても、長続きしない。賃上げや労働環境の改善など、人手不足の解消に向けて、あらゆる手を尽くさねばならない」(ビルメンテナンス)といった人手不足を訴える声が多く寄せられた。
先行きについては、先行き見通しDIがマイナス15・1(12月比プラス0・6㌽)とほぼ横ばいを見込む。年末年始の商戦を契機とする個人消費拡大や、インバウンドを含めた観光需要拡大、生産・設備投資の堅調な推移への期待感がうかがえる。他方、人手不足の影響の深刻化や、原材料費の上昇、コスト増加分の価格転嫁遅れ、貿易摩擦など世界経済の不透明感、消費増税の影響を懸念する声も多く、中小企業の業況感はほぼ横ばいで推移する見通しとなっている。
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