隊員数右肩上がり 地域おこし協力隊
地域おこし協力隊をご存じですか?
都市部から過疎地などの条件不利地域へ移住し住民票を異動した“協力隊員”が、地方自治体の委嘱を受け、最長3年間、地域活性化活動を行いながらその地域への定住・定着を目指す制度です。報酬・活動費や住宅補助、活動用車両の貸与などのサポートがあります。
三大都市圏などに住民票がある人を中心に募集。応募者が高齢化・人口減少による地域おこしの担い手不足を解消し、新しい視点で地域の活性化に貢献することなどを目的にスタートしました。所管する総務省の活動報告によると、制度開始から15年、隊員数は右肩上がりで100人から8000人まで増加。年齢別では20代から30代の若手が約6割を占め、定住・定着率は7割です。
地域おこし協力隊の活動例を紹介すると、観光戦略・情報発信としてSNSやWebサイトを活用した地域PR、地域の祭りやイベントの企画・運営などがあります。また、空き家バンクの運営推進や、古民家をDIYでリノベーションしゲストハウスやコワーキングスペース、コミュニティーカフェとして再生する、あるいは学校や学童施設での学習支援、地域の高校魅力化プロジェクトへの参画など、挙げれば切りがありません。
定着して活躍 起業目的の人も
さらに定住・定着後には地域の担い手として活躍するケースが多数見られますが、注目すべきは約6割を占める若手の半数以上が各地で起業していることではないでしょうか。地域への貢献以上に「起業」したいから地域おこし協力隊に応募する。都市部より起業するには魅力が大きいと考える若手が(それなりに)いるのです。
そもそも、起業することは自己実現の近道です。会社で働いて感じるようなストレスは解消できる。若いうちの起業なら失敗を恐れずに取り組めるし、テクノロジーの進化でビジネスを立ち上げるには優位性があるくらい。だから起業したいのです。
さらに、地域には社会問題が山積しており解決をテーマにしたビジネスが創造しやすいこともあります。低賃料で広いオフィスを確保しやすく、自治体の手厚い移住・起業支援金を活用できる。テレワーク普及により地方在住は大きなハンデにはなりにくい。だから、地域で起業もありと考えた若手が“AI×〇〇”の社会実装・環境保護、日本の「隠れた魅力」の再定義などを切り口に起業を実現。こうした成功例に続けと、入隊希望が増えているのです。
ちなみに地域おこし協力隊に入隊した人の認知経路は口コミが約4割。続いて自治体ホームページ、JOIN(ニッポン移住・交流ナビ:ふるさと回帰・移住交流推進機構)サイトくらいです。地域で起業を題材にPRを強化すれば、都市部の若手人材はもっと動き出すかもしれません。
(立教大学大学院非常勤講師・高城幸司)