日本商工会議所はこのほど、2018年12月の商工会議所LOBO(早期景気観測)調査結果と共に、2018年度の所定内賃金の動向についてヒアリングした結果を発表した。18年度に所定内賃金の引き上げを実施した企業(予定含む)(全産業)は56・7%となり、17年12月調査と比べ、1・5㌽増加した。「未定」は18・7%で0・3㌽増加、「見送る」は24・9%で1・5㌽減少した。
賃金引き上げを実施した企業の内訳を見ると、「業績の改善が見られないが賃上げを実施」した企業(全体の34・6%)が、「業績が改善しているため賃上げを実施」した企業(全体の21・8%)を上回り、中小企業の賃上げには依然として「防衛的賃上げ」が多い結果となった。
賃金を引き上げる主な理由は、「人材確保・定着やモチベーション向上のため」が92・3%で最も多かった。また、賃金の引き上げを「見送る」「未定」の主な理由は、「今後の経営環境・経済環境が不透明なため」が71・9%で最多となった。
ヒアリングした企業からは、「売り上げが増加しており、利益が確保できている。今のうちに次の人材を採用したいので賃上げを行ったが、なかなか思うように人材確保ができていない」(製造)、「働き方改革を見越して従業員の休日を増やすことによる給料の減少分を補う必要があり、業績の改善が見られないが定期昇給とベースアップを実施した」(土木工事)、「設備の老朽化が進んでいるが、採算が悪化し今後の経営環境が不透明なため、賃上げを行うか設備投資を行うか、決めかねている」(宿泊)といった声が寄せられた。
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