日本商工会議所は8月5日、「中小企業における消費税の価格転嫁などに関する実態調査」の結果を公表した。今年10月に予定されている消費税率10%への引き上げ後の価格転嫁・価格設定について、「転嫁できる」見込みと回答した事業者は、前回(2018年7月)調査比4・3ポイント増の68・0%となった。調査期間は、2019年5月7日~6月7日。全国3305事業者から回答を得た。
価格転嫁・価格設定について取引形態別に見ると、「転嫁できる」割合は、BtoB事業者では76・4%、BtoC事業者では64・6%となった。売上高別では、BtoB事業者はいずれの売上高区分でも7割超が「転嫁できる」としているものの、BtoC事業者では「1千万円以下の事業者」の「転嫁できる」が56・4%にとどまっており、小規模事業者は価格転嫁が難しい傾向にあることが判明した。
消費税率10%への引き上げと同時に導入される、食品などの税率を8%に据え置く軽減税率に関しては、「自社商品が軽減税率に該当するかの確認」について「対応済み」「対応中」と回答した事業者は約8割を占めている。軽減税率対象品目を扱う事業者における「請求書・領収書などの区分記載対応(BtoB事業者)」、「レジの複数税率対応(BtoC事業者)」については、「対応済み」「対応中」と回答した事業者は、いずれも約6割を占めている。売上高別で見ると、小規模な事業者ほど「未着手」の割合が大きく、売上高5千万円以下の事業者では、4割超が「未着手」となっている。
価格表示については、「総額表示」を選択する事業者が、現在の64・7%から軽減税率導入後は50・1%へと14・6ポイント減少する。テイクアウトやイートインが発生するBtoC事業者においては、「総額表示」「外税表示」のいずれも多様な表示方法などが検討されている。消費者に対する価格の分かりやすさ、売り上げへの影響などから自社に適した価格表示について検討していると考えられる。
インボイス制度については、課税事業者の約5割、免税事業者の約6割が「知らない」と回答した。課税事業者のうち、それぞれ約1割が「免税事業者との取引は(一切または一部)行わない」「経過措置の間は取引を行う予定」と回答。免税事業者のうちそれぞれ約1割が「課税事業者になる予定はない」「廃業を検討する」と回答した。
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