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スポーツライター 青島健太の注目アスリート 野球部が果たした地域貢献 地元を盛り上げた金足農旋風

第100回全国高校野球 近江(滋賀)-金足農(秋田)9回、本塁へ生還し喜ぶ金足農(秋田)・菊地彪吾(#9)に抱きつく吉田輝星(左から3人目)とナイン

毎年この時期になると発表される「ユーキャン新語・流行語大賞」。

今年も候補の30語が挙がった。その中にはカーリング女子日本代表の「そだね」や吉田輝星投手の活躍で一躍全国区になった「金足農旋風」が選ばれている。いずれも明るいスポーツの話題なので、受賞の有無にかかわらず、もうすでに大きな貢献を果たしたといえるだろうが、個人的にはやはり金足農業高校の選手たちを称えたいと思う。とりわけ秋田県予選から決勝戦の途中までたった一人で投げ抜いた吉田投手には、流行語大賞の事務局から奮闘賞でも贈呈してほしいものだが(笑)、それは無理な話だろう。

ただ、私がここで金足農業高校の活躍を取り上げる理由は、北海道日本ハムファイターズへの入団が決まった吉田投手に寄せる期待からではない。もちろんこれからも彼のプレーぶりをしっかりと追いかけていこうと思うが、年末のこの時期に再度彼らの頑張りを紹介するのは、それがとても本誌「石垣的」だからだ。さまざまな事業や企業活動を通して地域の活性化を促す。それを積極的に広報し、推進しているのが本誌だとすれば、金足農業高校の今夏の躍進は、野球の好成績だけにとどまらず、地域のさまざまなものに注目を集める見事な活躍だったと言えるだろう。

農業高校の活動を知ってもらう機会をつくり、学校が作る農産物の売り上げも飛躍的に伸びたようだ。そればかりか学校周辺の盛り上がりはもちろん、秋田県全体の活性化にも貢献したといえるだろう。私の知り合いも卒業生ではないにも関わらず野球部に寄付をした人もいる。

多くの人を巻き込んだ活躍は見事だったといえるだろうし、これがスポーツのもっている魅力だともいえるだろう。

野球部のメンバーがすべて地元出身者であったことも盛り上がりの要因として挙げられたが、高校野球ではよそからきた生徒を認めない風潮がある。これについては、狭量な考え方だと私は思っている。IターンやUターンといろいろなところから人材を求めていながら、野球をやりに来る高校生だけが歓迎されないのは理不尽な話だ。いずれその地を離れるとしても、彼らにとっては特別な場所として記憶されることだろう。それも立派な支援者ではないだろうか。

今回は勝手な企画だ。私が独断で選ぶ石垣賞?は「金足農旋風」だ。

写真提供:産経新聞

あおしま・けんた スポーツライター&キャスター 1958年新潟市生まれ。埼玉県立春日部高校から慶応義塾大学、東芝を経てヤクルト・スワローズに入団。プロ野球初打席で初ホームランを記録。引退後は、オーストラリアで日本語教師を務め、帰国後、あらゆるメディアでスポーツの醍醐味を伝えている

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