日本商工会議所は1月25日、今年4月に施行が予定されている新たな外国人材受け入れ制度に関する省令(案)と外国人雇用管理指針(改正案)に対する意見を公表した。同省令・指針は、新制度を中小企業の実態に即した有効なものとするために非常に重要であり、外国人材を受け入れる企業はこれらの内容を確実に把握・理解しておく必要があることから、受け入れ企業の視座に基づき、意見書を取りまとめた。
新たな外国人材受け入れ制度に関する省令(案)に対する意見では、特定技能外国人が雇用契約終了後に帰国する際の旅費は、原則、特定技能外国人が自己負担すること、行方不明者の発生に係る受け入れ企業の責めに帰すべき事由は合理的かつ具体的な基準を明確に示すこと、外国語対応が可能な医療機関に関する情報は、国または地方自治体がホームページなどで公表することなどを求めている。
また、法務省など関係省庁は、地方および中小企業における人手不足の状況を継続的に把握し、必要性が認められる場合には、分野別運用方針の見直しや受け入れ分野に関する検討を速やかに行うことや、受け入れ企業の事務負担を軽減するため、届け出は支障がない限り、オンライン申請など簡素化すべきとしている。
外国人雇用管理指針(改正案)に対しては、パンフレット作成や受け入れ企業向け研修会の実施などを通じ、本指針の内容を幅広く周知していくことや、全国のハローワークや働き方改革推進支援センターなどにおいて、外国人材の雇用管理に特化した相談機能をさらに強化・拡充していくことを提案。受け入れ企業を対象に、外国人労働者に対する日本語教育や就労環境を構築する際のポイント・ノウハウなどをテーマとした研修事業を創設するよう要望している。
その他、関係省庁が合同会社説明会を実施するなど、外国人材を雇用したい中小企業と外国人材とのマッチング機会の提供に鋭意取り組むよう求めている。また、特定技能外国人が大都市圏など特定の地域に過度に集中して就労することとならないよう、具体的かつ実効性のある施策をさらに実施していくことや、在留資格の見直しなど、外国人留学生の就職の促進に資する取り組みを着実に実施していくことを要請している。
政府は、中小企業をはじめとした深刻な人手不足に対応するため、一定の専門性・技能を有し即戦力となる外国人材を受入れる新制度として、特定技能の在留資格「特定技能1号」「特定技能2号」を創設。受け入れ分野は、生産性の向上や国内人材確保のための取り組みを行ってもなお、当該分野の存続のために外国人材が必要と認められる分野とされ、特定技能1号は14分野、特定技能2号は2分野となっている。
大きな経済情勢の変化が生じない限り、受け入れ対象14分野において向こう5年間で34万5千人を上限として、特定技能1号の外国人を受け入れる。また、外国人が大都市圏その他の特定地域に過度に集中して就労することにならないよう、政府は必要な措置を講じるとしている。
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