建築の世界では、リノベーションやコンバージョンの用語を頻繁に耳にする。リノベーションは、既存建物の骨格だけを残す大規模改修工事により、元の用途や機能を変更し性能の向上や価値を高めること。コンバージョンは、古い工場や倉庫などを美術館などに転換再生するといった行為である。
▼こうした発想は、今日の観光の仕組みづくりでも重要である。観光は「装置」であり、一度つくれば簡単には変えられず、顧客の価値変化のたびにミスマッチが生じてしまう。ましてや世界各国から訪れる外国人の価値観にどう応えるかが絶えず問われているのである。
▼そんな中、インバウンド客の増加で絶好調の岐阜県高山市の経営戦略を思い出した。高山は江戸期以来の城下町・商家のまち並みなど、天領の姿をよくとどめている。重要伝統建築物群(重伝建)のまち並みは、平成21年にミシュラン・グリーンガイドで最高の三つ星を獲得、観光地としてのブランドを確立した。
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