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コラム石垣 2018年11月1日号 中村恒夫

プラスチック廃棄物の取り扱いが世界的な課題になっている。特に、海洋に流出し「マイクロプラスチック」となった細かな粒を、魚介類やプランクトンが食べ、生態系に悪影響を及ぼしかねない懸念があるためだ。大手コーヒーチェーンがプラスチック製ストローの廃止を決めたほか、国内でも関連業界団体が「海洋プラスチック問題対応協議会」を設立した。四方を海に囲まれた国としては当然の対応だ。一方で「木」「竹」「紙」といった日本伝統の素材について再活用策を検討すべきだという声が強まっている。

▼いち早く竹製の乳幼児用食器を開発し、結果を残しているFUNFAMの藤岡康代社長によると「竹は安心、安全といったイメージだけでなく、抗菌性が高い点も評価されている」という。同社の業績も着実に向上している。さらに、将来的には間伐材を活用し、高齢者施設向けの食器に使えないか、検討を進めている

▼逆に、プラスチック成形などに関わる中小企業は、かつてない逆風を感じているだろう。といって、時流に合わせて竹や木を用いた商品市場に参入しようとするのは安直過ぎる。藤岡社長自身、一流ホテルや大手百貨店で扱ってもらうまでには語り尽くせないような努力を払っている。原材料の確保、作業を担う職人の発掘も容易でない

▼食料品の保存、自動車の軽量化をはじめプラスチックが果たした効用は大きいし、今後も期待できる場面は数多くあるはず。大手飲料会社は完全に再生可能なペットボトルの開発に踏み出した。以前とは次元の異なるリサイクル技術が確立する期待もある。需要の減少見込みにうろたえるのではなく、世界の潮流を見極めることが今は大切だ。

(時事通信社常務取締役・中村恒夫)

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