東京には各地のアンテナショップがあり、集積地となっているのが有楽町駅のそばにある交通会館です。北海道、大阪、富山など各地の名産品や地元の人気商品などが販売されています。1階にある北海道、大阪のショップはイートインのコロッケやアイスクリームにいつも行列ができています。筆者は大阪の物産が並ぶ「浪花のえぇもん うまいもん大阪百貨店」でイカ焼きをいただいたことがあります。学生時代は関西に住んでいたので懐かしい気持ちでいただきました。
ちなみに、このアンテナショップをホームページで調べたところ、民間企業が運営していました。自治体運営だけと勘違いしていましたが、民間企業が運営するアンテナショップも増えつつあるようです。 交通会館以外のアンテナショップも訪ねたことがありますが、ギャラリー、観光情報コーナーなども備えて、旅行PRや交流イベントなども行われていました。さらに徳島県が2018年に開設した「Turn Table」は宿泊も可能など、機能がドンドンと拡充されつつあります。1回といわず、何回も活用してほしいと筆者は感じています。
ただ、現状はどうなのか? 知人でアンテナショップの立ち上げに関わる経営者に聞いたところ、利用内容は特産品購入が大半で購入後の評価は総じて高い。ところが利用頻度が低く、リピーターが少ないとのこと。周囲の友人に聞いてみても同様の意見を聞くことができました。だとすると、とてももったいない話です。
利用して高い評価を得たにもかかわらず、リピーターにならないのはどうしてなのでしょうか? その理由はロイヤルティーを高める取り組みが足りないのかもしれません。
ロイヤルティーとは、消費者の忠誠心のことです。基本的に消費者は「新規」と「リピート」の二つに分けられます。そして、重要なのは新規からリピートを増やすこと。そのために必要なことが「やや満足」ではなく「とても満足」する人を増やすことです。やや満足ぐらいでは別の商品を選ばれてしまう可能性が高いと認識すべきなのです。
そこで、アンテナショップで商品を購入してとても満足した人はどれくらいいるのか? そして、どうしてとても満足したのかを分析してみてはどうでしょうか? その回答にリピーターを増やすヒントが隠れている気がします。さらに言えば、やや満足しかいかなかったとすれば、リピーターを増やすことは相当に困難かもしれません。その場合には、とても満足をいただける商品やサービスを地元で探すべきでしょう。
(立教大学大学院非常勤講師・高城幸司)
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