感動を与えるものづくりを目指して
株式会社デキャンタージュ 代表取締役 小林 由紀(こばやし・ゆき)
せっけんを高付加価値化
私は長年IT企業でシステム開発に携わっていましたが、「遊び心のある面白いものをつくりたい。人に感動を与え、笑顔にするものづくりがしたい!」と、起業を決意しました。当初、システム開発やスマートフォンアプリケーションの開発、ホームページ制作を行う会社として設立しましたが、2年目から手作りせっけん、コスメティックの企画開発事業を開始、現在は同事業に重点を置いています。 せっけんに着目したのは、私自身子どもの頃からじんましんやアレルギー、市販のせっけんを使うとかゆみが出るなどの肌トラブルに悩まされていたから。体質に合うせっけんが見つからないなら作ってみようと、身内が経営する手作りせっけん工房に低刺激の無添加せっけんを作ってもらい、以来それを使っていました。この経験から、同様に悩む人の手助けができればと商品化に着手しました。
開発に当たっては、ほかのせっけんと異なる新しい付加価値を付けたいと考えました。その一つが形状です。当時出張が多かった私は、せっけんの持ち運びに不便を感じていたため、せっけんをカンナで削って1枚使い切りタイプにしました。さらに商品を手にしたとき喜びを感じてほしいと、誕生石に見立てたスワロフスキー(クリスタル)の付いたガラス瓶に詰め、石の言葉を記したカードも添えて、「バースデーストーンソープ」と名付けて商品化しました。
「大人の女子力」テーマに総合コスメ事業へ
こうして無添加・低刺激に加え、持ち運びが便利でかわいいせっけんが誕生しましたが、いざ発売となると美容業の販路開拓は全くの素人。営業の仕方も分からない状況でした。商品のブランディングを目指して最初から百貨店への売り込みに挑み、商工会議所主催の合同商談会に出品しましたが、なかなか商談が成立せず諦めかけていたとき、地元福岡での商談会で有楽町マルイの母の日イベントへの出店が決定。その後、「東京インターナショナルギフト・ショー」へ出展し、複数の百貨店で単独イベント出店を実現、現在はそごう・西武百貨店との取り組みを行っています。また持ち前のIT技術を駆使しインターネット販売にも注力するほか、OEM(相手先ブランド名製造)の開発も行い、ホテルオークラ福岡のスイートルームのアメニティーや、JR九州のスイーツ列車「或る列車」に製品が採用され、総合コスメ事業としても展開を始めました。
今後は、30代以上の大人の女性に向けた「大人の女子力」を上げるアイテムを充実させたいと考えています。デキャンタージュの商品によって大人の女性が気持ちをキュッと上げて輝けるよう応援したい。この事業をより多くの人に知ってもらえるよう、海外へも展開し、「メイド・イン・九州」のクオリティーが世界で認められる事業に育てたいと思います。幸せをつなぐ商品開発を目指し、いつまでも「次は何を作ろうかな」と言える自分でありたいと思います。
会社データ
社名:株式会社デキャンタージュ
所在地:福岡県福岡市中央区今泉1-2-30天神プレイスイースト1202
電話:092-791-2577
創業:平成25年7月
事業概要:化粧品企画・販売、WEB製作、スマートフォンアプリケーション開発
HP:https://www.birthdaystone.jp
※月刊石垣2018年1月号に掲載された記事です。
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