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事例で解説 下請取引適正化 vol.2

わが国経済の好循環を実現するためには、「下請等中小企業」の取引条件を改善することが重要です。本コーナーでは、下請代金支払遅延等防止法(下請法)の違反事例のほか、公益財団法人全国中小企業振興機関協会がこれまでに実施したセミナーにおける質問や、日々寄せられる問い合わせの中から、特に参考になる事例をQ&A形式で解説します。今回は、前回に引き続き下請法の適用範囲についてご紹介します。

Q当社(資本金:3000万円)は金型の製造を行っています。他の事業者から請け負った金型の製造および金型の図面の作成を下請事業者(資本金:1000万円)に依頼しました。下請法上、どのように考えればいいですか。

A他の事業者から請け負った金型などの物品について製造を委託することは、「製造委託」として下請法の適用対象となります。また、請け負った金型の製造のために必要となる図面の作成を下請事業者に委託することは、図面の内容を金型に化体させて他の事業者に提供することになりますので、「情報成果物作成委託」として下請法の適用対象となります。

プログラム以外の「情報成果物作成委託」および「製造委託」では、委託先(受注側)の資本金が1000万円以下の場合には、委託元の資本金が1000万円を超えていれば、下請法の適用対象となるため、本件では金型の製造委託も金型の図面の作成委託も下請法の適用対象となります。

Q当社(資本金5億円)は自社が製造販売する家電製品の家電メーカーですが、自社の家電製品の取扱説明書について、当該説明書の内容の作成から印刷までを下請事業者(資本金3億円)に依頼しました。下請法上、どのように考えればいいですか。A取扱説明書は販売する商品の一部を構成するものになります。このため、取扱説明書の内容(コンテンツ)の作成および印刷を委託することは下請法の対象となります。この場合、取扱説明書の印刷を委託することは「製造委託」に該当し、取扱説明書の内容(コンテンツ)の作成を委託するときは「情報成果物作成委託」に当たります。このように、3億円基準により資本金区分を判断する取引と、5000万円基準により資本金区分を判断する取引を同時に発注した場合には、それぞれの取引ごとに、それぞれの資本金基準により下請法の対象になるかどうかが判断されます。

質問のように、取引当事者の資本金の額から、印刷の委託は下請法の対象になりますが、内容(コンテンツ)の作成の委託では対象とはなりません。

しかし、これらが一体不可分の取引として発注された場合には、いずれかの資本金区分に該当すれば一体として下請法の対象になりますので、ご注意ください。

提供

公益財団法人 全国中小企業振興機関協会
(旧公益財団法人 全国中小企業取引振興協会)
下請取引適正化の推進を目的に、全国48カ所に設置された「下請かけこみ寺」を中小企業庁の委託により運営するなど、中小企業支援機関として各種事業を実施しています。
HP:http://www.zenkyo.or.jp

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