愛知県大府市は、名古屋市の東南部に隣接する人口約9万3千人の都市。現在も緩やかな人口増加を続けています。名古屋駅からJRの快速で十数分、さらに高速道路網の要衝でもあり、輸送機器などの製造業が集まる「ものづくり」のまちとして発展してきました。
また、当市には世界規模で重要性が増している「健康長寿」に関して、「国立長寿医療研究センター」をはじめとする、健康・医療・介護などの施設が集積しており、健康づくりから新産業創出まで幅広い挑戦を続けています。
さて、弊社は小型ユニバーサルジョイント(自在継ぎ手)の専門メーカーとして、腕利きのゲージ職人だった父が1942年に創業。朝鮮戦争特需の折、トヨタ自動車のエンジン加工設備に使われていたユニバーサルジョイントの品質問題を解決したことが、現在につながっています。この特殊で超ニッチな機能部品メーカーとして、私たちは社の行動指針を「チャレンジ」「三つの開発(マーケット・作り方・新商品)」「コミュニケーション」と定め、金型の開発・冷間鍛造から加工、組み立て、製品評価試験まで一貫して行っています。用途は自動車をはじめ農業機械、建設機械、産業車両など多岐にわたります。中小企業で自動車の重要保安部品を製造するTier1(テイアワン・一次メーカー)は珍しく、「下町ロケット」のような会社と言われます。
そんな弊社で私が心掛けているのが「あ4(フォー)会合」です。「(あ)せるな」「(あ)きらめるな」「(あ)てにするな」「(あ)などるな」の四つの「あ」で「あ4」です。また、弊社の行動指針を浸透させるため、私自身が現場に出て、新入社員に課題を気付かせ、改善活動をともにします。1対1で約1年行っていますが、最近、女性リーダーが誕生。楽しみである一方、男性の奮起を望むところでもあります。
当市のものづくりの主力である自動車産業では、IoT、AIなどの異業種を巻き込んだ百年に一度の大変革期を迎えています。従来のサプライチェーン維持だけではなく、さまざまな業界との交流を通して「自立」を目指す必要があります。そのためには、自ら問いを立て改善できる創造的な人材や挑戦を奨励する企業文化が欠かせません。弊社も当所も「地域経済の持続的発展」を目指し、未来に向けて挑戦し続けてまいります。
最後に、本稿を執筆している今、世界では新型コロナウイルス感染症との戦いが続いています。一日も早い勝利を祈って筆をおきます。
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