先日、あるタレントが経営するラーメン店の将来性をラーメンの評論家が診断するという企画のテレビ番組を見ました。その店のラーメンは大きな特徴はありませんが、かなりおいしくプロの点数も高いもので、店の関係者は、一度食べてもらえばファンがつくはずだ、という自信を持っていました。しかし、ラーメンの評論家の90%が、その店を1年以内に潰れる、と診断したのです。
ラーメン屋がある東京の神田というまちは、42軒ものラーメン店がひしめくラーメン激戦地です。近隣には濃厚な鶏白湯、濃厚魚介スープ、ご当地ラーメンなどなど、個性の強いラーメン店がたくさんあります。このような激戦地でラーメンを選ぶ場合、自分の住むまちにもありがちなラーメンで、多少おいしい一杯よりも、特徴があるものを選ぶものです。競争が厳しければ厳しいほど求められるのが、独自固有の長所であって、ちょっとおいしいくらいでは差別化できないわけです。
事例は変わりますが、このことは一線で活躍し続ける物まねタレントのコロッケさんの仕事を見ても分かります。物まねタレントには四天王と呼ばれる4人がいるのですが、みんなメチャメチャ似ていて上手です。ところがコロッケさんはリアルに似ていることよりもデフォルメした面白さをクリエーティブに表現しています。以前、彼の物まねを年代順に紹介した番組がありましたが、2年に一回くらい全く新しいスタイルをつくりあげているのです。
形状物まねだと思っていたらボイストレーニングにより松山千春から美川憲一までキッチリと歌が歌えるようになり、北島三郎と野口五郎を組み合わせた「北島五郎」など特徴のある歌手2人の合体物まねを開発し、ある時期にはロボコップみたいな機械的動きをするとか、映画のSFXの手法のように顔面だけがある人物から別の人物へと自然に変えていく「顔まね33面相」などなど、進化し続けるのです。彼の芸の深さは業界でも定評があるそうですが、常に変化していないと生き馬の目を抜く芸能界では、独自固有の長所を一つや二つ持っているだけでは生きていけないということを知っているのです。
商売には安定した内容が必要ですが、それと同時にお客さまを惹きつける個性が必要です。魅力的な自社であり続けるには、変化に挑む経営者の姿勢が必要不可欠だと思います。
お問い合せ先
社名:株式会社 風土
TEL:03-5423-2323
担当:髙橋
最新号を紙面で読める!