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コラム石垣 2014年6月21日号 丁野朗

いまや観光は「1億総おたく化」が進行している。「おたく」が不適切であれば趣味(テーマ)化でもいい。これは、旅のダウンサイジング、個人化の帰結である。家族や友人・仲間などの小グループや一人旅が増加すれば、必然的に趣味やテーマで旅先が選ばれるということである。

▼反面、永遠のテーマといわれる「食」を目的とする旅も依然人気が高い。いわゆる「食旅」である。だが、近年の食旅は、ただおいしければいいというレベルを超えて、食や食文化への拘りが強い。この分野でも趣味(テーマ)化が進んでいるのである。

▼「食」を提供する地域側にも拘りがある。夕張メロンや関サバ・関アジなど地域食材を特産品化し、知名度と信頼度を強める「ブランド食品型」、紀州梅のように伝統的地場産品を高付加価値化する「伝統加工品型」、高山の飛騨ヨーグルトや馬路村の柚子加工品など地場農水産物から新加工品を開発、インターネット販売で全国区として産地を観光地化する「新開発加工品型」、広島お好み焼きや宇都宮餃子など地元で昔から親しまれている大衆料理を普及させて食旅に発展させる「飲食店型」など実に多様である。

▼これらとともに、近年は特色ある食の「場」や「作法」が注目されている。全国有数の食材を誇る高知県は、リクルートの「食の調査」で4年連続日本一に輝いた。この人気を支えたのは、祝事があれば、親族や町・村の人々が集まって宴会をするおきゃく」という食文化にある。これを「場」として表現した「ひろめ市場」は人気が高い。おしゃべりと三線で楽しむ沖縄の「ゆんたく」も同じだろう。観光客は、こうした食文化に共感しているのである。

(公益社団法人日本観光振興協会総合研究所長・丁野朗)

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