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「下町育ちの再建王」の経営指南 「カネ」は「カネ」を生むために使う

「宝くじが当たったらどうしようか!?」

こんな楽しい妄想は、誰もが経験したことがあると思います。当選者の追跡データによると、ぜいたくをしてしまい、わずか数年で使い果たし、結局自己破産してしまう人も少なくないようですが、それでも宝くじへのロマンは禁じえないものです。

実家のディスカウントストアで仕事を始めた20代の中頃、「3億円宝くじが当たったら、どうするかな~」と親父に尋ねたことがありました。親父はよくぞ聞いてくれたとばかりに、考えを語りました。

「俺たちは商売をしている。いわば資本主義を実践しているんだ。だから、カネはカネを生むために使わないといけない。3億円で3千万円のマンションを10戸買えばいいじゃないか。それで、お前は60歳まで一生懸命働いて偉くなれ。ぜいたくは自分で稼いだ金でやれ。毎月10万円の家賃が10カ所から入り続けて35年。60歳を迎えるころにはかなりの金持ちになっているし、気分の良い人生を送れるぞ‼」私は、「そんなものなのかな……」という感じで聞いていた覚えがあります。

大学・大学院時代、私は毎日アルバイトをして月5~6万円の収入がありました。実家暮らしだったので、日常の小遣い、学費、冬のスキー合宿、欧州への卒業旅行費など、やりたいことに使っても、卒業時には100万円ほどが手元に残りました。ある日、それをどうしたらいいか親父に相談したところ、親父らしいアドバイスをしてくれました。

「ちょうどいい10坪ほどの不動産が売りに出ているから、あれを買ったらどうだ!」「買ってどうするの?」「リフォームして人に貸せば、3万6千円くらいで貸せるらしい。リフォーム代は手元にある100万円を担保に、分割して、家賃収入で払えばいいだろう」私はよく分からないまま、親父の考えに従いました。

あれから45年。その不動産はいまだに年間80万円稼ぎ続けています。もちろん、修繕や契約など、不動産会社との手間は多少掛かりますが、これまでに3千万円以上の収入をもたらしました。

さて、仕事の話です。私たちビジネスに生きる者は、「〝カネ〟は〝カネ〟を生むため使う」を知るべきです。人件費は金を生むための経費ですからこれを惜しんでは仕事になりません。それ以外の、金を生まない経費は徹底的に削減する。利益を追う前にその習慣を社内に根付かせることが、会社の黒字体質を強化します。会社の若い人たちにもこのことを教えれば、社内の経費削減に本腰を入れるようになるはずです。

小山 政彦(こやま・まさひこ) 株式会社 風土 代表取締役会長 (前 船井総合研究所 代表取締役会長) 1947年、東京生まれ。開成高校卒。早稲田大学理工学部数学科卒業後、実家のディスカウントストア経営に携わる。84年、船井総合研究所に入社。6年後には売り上げ3億円のNo.1コンサルタントになる。2000年の社長就任後は大証2部から東証1部上場、離職率20%台を6%までに改善、賞与支給No.1企業など経営者としても手腕を振るう。10年には代表取締役会長に就任。13年3月をもって退任し、現在は㈱風土代表取締役会長を務める。著書に『ベタ惚れさせるマネージメント』(講談社)、『9割の会社は人材育成で決まる!』(中経出版)など多数

お問い合せ先

社名:株式会社 風土

TEL:03-5423-2323

担当:髙橋

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