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「下町育ちの再建王」の経営指南 トップの変化で会社は変わる

指導している会社の若い社長から、「業績が伸びているのに、良い人材が入ってこない」という切実な相談を受けました。そのため、私が信頼する船井総研の元社員の女性を紹介しました。彼女には、ワンマン社長と良好な人間関係を築く秘訣として、当面は意見を言わないように言い含めていました。しかし、わずか3カ月で社長から意見を求められ、感じたことを全て話してしまったそうです。

自分一人で業績を上げてきた社長が、新人の意見を聞けるか聞けないかは明白です。以来、彼女の顔は見たくもない、と言うようになってしまったのです。船井総研は上場会社としてのシステムがあり、しかも自由な社風を持っています。そこで育った彼女が小さな会社で同じように行動してしまったのが、失敗でした。

私はこれをチャンスと考え、年初の指導の折、社長に意見しました。「君が社員30人の会社の社長のままでよければ、ワンマンでいい。でも自分が変わらないと、大きくはなれないぞ。今の5倍の規模にしてみたくはないのか。そうなれば社員は5倍。好き嫌いなんて言ってられないぞ。耳に痛くても優秀な社員の意見を入れ、嫌でもいいから人とはちゃんと笑顔で挨拶できるようになれ」

彼は相当考えたようで、3カ月後には彼女と普通に話ができるほどに変わりました。7月のボーナス期には、4人の社員から手紙が届き、「あれだけイライラと怒っていた社長が、激変した……」といったことが書かれていたほどです。そして、不思議なことに、8月、9月、10月と良い人材が次々と入社。その上、辞めた社員が戻りたいと申し出るなど、人材不足が一気に解決しました。

「何で急に風向きが変わってきたんでしょうか」と彼は聞きます。亡き舩井幸雄氏ならば、「波動の法則」と言うでしょう。私は「言の葉の力」と答えました。

人の言葉はエネルギーを持っています。「いやー、若い社員が続かなくてね~」という社長と、「最近、社員が頑張っているんですよ」という社長。どちらに人が集まるでしょうか。「おかげさまで利益もあがりましてね……」という会社の方が魅力的に見えるに決まっています。先ほどの会社の社員は、飲みに行った先などで、社長の変貌ぶりを話していると思います。それを聞いた人は、そんな会社に入ってみたいと思う、これが「言の葉の力」です。

トップの変化は、その言葉が周りの人の意識に刷り込まれるだけでなく、多くの人を動かす力があります。あなたの在り方次第で、会社が変わる。そう考えると、今抱えている問題の幾つかは、意外と簡単に解決するのかもしれません。

小山 政彦(こやま・まさひこ) 株式会社 風土 代表取締役会長 (前 船井総合研究所 代表取締役会長) 1947年、東京生まれ。開成高校卒。早稲田大学理工学部数学科卒業後、実家のディスカウントストア経営に携わる。84年、船井総合研究所に入社。6年後には売り上げ3億円のNo.1コンサルタントになる。2000年の社長就任後は大証2部から東証1部上場、離職率20%台を6%までに改善、賞与支給No.1企業など経営者としても手腕を振るう。10年には代表取締役会長に就任。13年3月をもって退任し、現在は㈱風土代表取締役会長を務める。著書に『ベタ惚れさせるマネージメント』(講談社)、『9割の会社は人材育成で決まる!』(中経出版)など多数

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社名:株式会社 風土

TEL:03-5423-2323

担当:髙橋

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