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「下町育ちの再建王」の経営指南 あなたは今の立ち位置に満足していますか?

人はなりたい自分になれます。今のあなたはなりたかった自分になれていますか。

先日、ホスピタルクラウンの大棟耕介さんと7年8カ月ぶりに対談をしました。ホスピタルクラウンとは、闘病している子供たちの心のケアのために、ピエロなどの衣装を着て医療施設を訪問し、笑いを届けるエンターテイナーのことです。

以前お会いしたときには、大棟さんお一人で活動なさっていましたが、今では30〜40人もの社員を抱え、3億4千万円売り上げる会社の社長に成長していました。もともとボランティア精神に満ちているので、自然災害が起きると、社員共々ボランティアで動くことが多く、今期は前年度に比べて8千万円の売上減とのことでした。対談の前に、その話を聞いた私は、彼の悩みに気が付きました。

人のためになる仕事、人の心を少しでも癒やしたいという方なので、売り上げが減ることは気にならないでしょう。しかし、彼は今や大勢の社員とその家族を食わせないといけない経営者です。社員の子供が高校、大学へと進学することを考えると、安い給料では経営者としての良心が苛まれているに違いありません。お金に関係なく動く良い人と見られてきた自分の立ち位置と、経営者としてお金を集めないといけない自分。このどちらに立つのかを決めないといけない時期がきているわけです。

頑張ってやってきた結果、いつの間にかこんな自分になってしまっていた。自分が目指すところはもっと別にあるのに……。折角の人生、もしそれに気が付いたら軌道修正して、本当になりたい自分を目指すようにしたいものです。

25年ほど前のことですが、純粋で心の強い社長の軌道修正を目の当たりにしました。 あるラーメンチェーンの社長が「業績も安定して良い会社になっているのに、自分は創業時と同じ荒い言葉で社員に文句ばかり言っている、本当は楽しく幸福感ある職場にしたいのに」と、悩んでいました。そこで、「明日の朝礼で、みんなにその気持ちを話してみたら」と言ったところ、本当に幹部を呼んで全体ミーティングを開き、みんなに感謝していること、楽しい職場にしたいと思っているのに今まで怒鳴りつけるような教育ばかりしてきたことを話し、土下座して謝ったのだそうです。社員は驚き、そして感動しました。その後、社長は温かい人柄を出すことができるようになり、同時に組織の結束力は強くなったそうです。

仕事の質と自分の人生の質、この両方を高めていきたいものです。そのためには数年に一度、自分の立ち位置の確認が必要なようです。あなたはいかがでしょうか。

小山 政彦(こやま・まさひこ) 株式会社 風土 代表取締役会長 (前 船井総合研究所 代表取締役会長) 1947年、東京生まれ。開成高校卒。早稲田大学理工学部数学科卒業後、実家のディスカウントストア経営に携わる。84年、船井総合研究所に入社。6年後には売り上げ3億円のNo.1コンサルタントになる。2000年の社長就任後は大証2部から東証1部上場、離職率20%台を6%までに改善、賞与支給No.1企業など経営者としても手腕を振るう。10年には代表取締役会長に就任。13年3月をもって退任し、現在は㈱風土代表取締役会長を務める。著書に『ベタ惚れさせるマネージメント』(講談社)、『9割の会社は人材育成で決まる!』(中経出版)など多数

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社名:株式会社 風土

TEL:03-5423-2323

担当:髙橋

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