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「下町育ちの再建王」の経営指南 会社に役立つ社員を育てる

机の上に白いA4判程度の紙を縦に置き、その紙を上下に2等分するよう、真ん中に横線(中心線)を引きます。その線より上に人の長所、線より下に人の短所があると考えます。そして、中心線の上部3㎝くらいから上は「ビジネスとして通用する」もの、線の5㎝上にあれば「プロ級」、7㎝上にあれば「一流」と呼ばれ、10㎝上にあれば「その分野では世界的に知られた専門家」、といった感じに特徴(点)を書き入れていきます。

私たちには多くの特徴がありますから、線の上下にたくさんの点を書くことになるわけですが、私の場合、100の特徴があるとして、確実に線の上部にあるといえる得意分野は、「講演ができる」「本が書ける」「会社が経営できる」「コンサルティングができる」の4つだけです。しかし、それ以外の大部分の私の特徴は、線の下にあるようです。「歌が苦手」「太り気味」「せっかち」「好き嫌いがはっきりしている」「早口」「緊張症」などなど。挙げたらキリがありません。

さて、『人を育てる』とはどういうことかというと、点の位置を少しでも上にあげることです。家庭、学校、社会はそのために努力します。しかし、会社は少し違います。仕事で注目するべき点は、線の上部にある点だけ。その点をより高い位置にあげることが、仕事のできる社員を育てる、ということで、これを〝長所伸展法〟と呼びます。今は線の上部1㎝だけれども、上司の指導や経験を積むことで、5㎜でも1㎝でも上にあげ、レベルの高い社員を育てることが、結果的に会社の利益を生むのです。

私の経験からすると多くの上司は、部下が持つ特徴の中で、線の下にある点ばかりが気になるようです。もちろん、社会人としての最低限必要な礼儀やマナー、身だしなみ、約束を守る習慣などが、線から下にある場合は、徹底指導するべきです。しかし、線の5㎝下にあるからといって、業績に直結しない特徴を無理やり直すことは、決して会社にとってプラスではありません。歌が下手、太っている、早口、な私の特徴をいくら直しても、商売になるレベルにはならないというわけです。

仕事に役立つ人を育てたいのであれば、上司は線より下の点を見ない、やせ我慢が肝心です。同じエネルギーを注ぐのであれば、線から上の点をより上にあげることだけ考えてください。

まずは社員一人一人に対して紙を用意し、点を書き入れてみてください。その人を会社に役立つ人として育てる方針を考えるために、非常に有効な方法です。

小山 政彦(こやま・まさひこ) 株式会社 風土 代表取締役会長 (前 船井総合研究所 代表取締役会長) 1947年、東京生まれ。開成高校卒。早稲田大学理工学部数学科卒業後、実家のディスカウントストア経営に携わる。84年、船井総合研究所に入社。6年後には売り上げ3億円のNo.1コンサルタントになる。2000年の社長就任後は大証2部から東証1部上場、離職率20%台を6%までに改善、賞与支給No.1企業など経営者としても手腕を振るう。10年には代表取締役会長に就任。13年3月をもって退任し、現在は㈱風土代表取締役会長を務める。著書に『ベタ惚れさせるマネージメント』(講談社)、『9割の会社は人材育成で決まる!』(中経出版)など多数

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