「下町育ちの再建王」の経営指南 時代を乗り切る〝力〟を培う

「次の時代への準備で最も大切なことは何でしょうか」と、支援先の方によく尋ねられます。次世代ビジネスを成功させ30年先の存続を考えるなら、「社風の確立」と「人材育成」が必要不可欠だと思います。そこで、若手社員にぜひ伝えていただきたいのは、〝現場経験こそが最大の財産〟だという考え方です。

『プロフェッショナルマネジャー』の著者で、「経営の師」と呼ばれたハロルド・ジェニーン氏は、「ビジネス世界の報酬はすべて二種類の通貨で支払われる。二種類の通貨とは、現金と経験だ。報酬は、まず経験で受け取ること。現金は後で付いてくる」と、述べています。

同じことを、サッカー指導者で、元日本代表監督のイビチャ・オシム氏は、別の表現で教えてくれています。「走ったって負けることはあるけど、走らずに負けるよりマシだ」

一生懸命やったときにミスをすると、人はそれを自発的に検証して、何が悪かったかを考えます。自ら気付きを得るために、人は必死にならないといけないのです。また、一生懸命走ったときにだけ、不思議な偶然が起こるのです。ゴールキーパーが跳ね返したボールを得点する、といった偶然は、一生懸命練習して走った人にしか与えられないチャンスです。これはスポーツに限った話ではありません。「努力は幸運を引き寄せるカギ」なのです。

企業は、時代の変化に合わせて変身し続けないと生き残れません。いち早く変身した企業のみが、次の時代のトップランナーとなり得ます。リスクを背負いながらも変身する力は、努力を重ねて育んだ経験が生み出すものです。

手前味噌ではありますが、船井総研のギアチェンジを紹介しましょう。船井総研は創業者・舩井幸雄氏の、流通業に対する卓越したノウハウとカリスマ性によって業績を伸ばしてきたコンサルタント会社です。私は、流通業が成熟し、業績が停滞した時代に社長に就任しました。

幸いにも役員一同に豊富な現場経験があり、時流が分かっていたので、積極的にギアチェンジを図り、クリーニング、リフォーム、引っ越しなどの受託業の支援チームを強化。そして、これまでになかった弁護士、司法書士、公認会計士などのコンサルティングを開始しました。当時、新しい業界の支援にはたくさんの壁があり、リスクもありましたが、一つ一つ乗り越え、新しい支援の形をつくっていったのです。

数年で船井総研は見事変身を遂げ、今では流通業の支援は全体の15%ほどです。豊富な経験と本気で働く社風が、「時代を乗り切る大きな〝力〟となる」という、良い事例だと思います。

小山 政彦(こやま・まさひこ) 株式会社 風土 代表取締役会長 (前 船井総合研究所 代表取締役会長) 1947年、東京生まれ。開成高校卒。早稲田大学理工学部数学科卒業後、実家のディスカウントストア経営に携わる。84年、船井総合研究所に入社。6年後には売り上げ3億円のNo.1コンサルタントになる。2000年の社長就任後は大証2部から東証1部上場、離職率20%台を6%までに改善、賞与支給No.1企業など経営者としても手腕を振るう。10年には代表取締役会長に就任。13年3月をもって退任し、現在は㈱風土代表取締役会長を務める。著書に『ベタ惚れさせるマネージメント』(講談社)、『9割の会社は人材育成で決まる!』(中経出版)など多数

お問い合せ先

社名:株式会社 風土

TEL:03-5423-2323

担当:髙橋

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