日本商工会議所は6月30日、6月の商工会議所LOBO(早期景気観測)調査結果とともに、「経営上望ましい為替水準」「2015年度の所定内賃金の動向」の2点について、全国の中小企業にヒアリグした結果を発表した。調査期間は6月15~19日。
自社の経営上望ましい為替水準(全産業)は(調査期間の為替水準は1ドル=122円~124円台で推移)、「100円~105円未満」が21・9%と最も多く、次いで「110円~115円未満」が18・1%、「105円~110円未満」が16・4%、「115円~120円未満」が16・2%とほぼ同水準で続く。
ヒアリングした中小企業からは、「円安に伴い、食材などの仕入価格が上昇。販売価格への転嫁が遅れ、採算が悪化する中、いつまで高値が続くか分からず不安」(飲食)と為替水準に起因する先行きに対する懸念の声が聞かれる一方、「円安により原材料価格が上昇しているが、販売価格への転嫁交渉が進み、売上・採算ともに好転している」(パン製造)との意見も聞かれた。
2015年度に賃金の引き上げを実施した企業(予定含む)(全産業)は、54・1%。3月調査の43・8%から10・3ポイント増加し、半数を超えた。「現時点では未定」とする企業は28・1%(3月調査比マイナス8・6ポイント)、「賃金の引き上げは見送る」は17・8%(3月調査比マイナス1・7ポイント)となった。
賃金の引き上げを実施した企業を業種別に見ると、卸売業が65・5%で最も多く、次いで製造業(58・8%)、建設業(57・9%)と続く。一方、小売業は44・8%と最も低くなった。
ヒアリングした中小企業からは、「売上増加で業況が好転していることから、社員の士気向上のため、定昇・ベアを実施。他方、法定福利費の負担は重く、合理化・生産性向上を一層進める」(自動車部品製造)、「受注が伸びており、自社の業況も良いことからベースアップの実施を決めたものの、上げ幅は、先行きの見通しを踏まえ検討する」(酒類卸売)、「経営負担は大きいが、人材定着を図るため賃上げせざるを得ない」(金属加工)などの賃上げに前向きな意見とともに、経営への負担に対する懸念もうかがわれる。
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