Q 最近、無断で店内の商品をスマートフォンで写真撮影するお客さまが増えて困っています。先日、あるお客さまに注意したところ、撮影禁止の張り紙などはしていなかったため、「なぜいけないのか」と開き直られてしまいました。いったいどのような対応をすればいいのでしょうか?
A まずは、店内に「撮影禁止」と書いた張り紙を出しましょう。そうすることで、万一トラブルになっても店側の権利が主張できます。掲示に際しては、お客さまに不快な印象を与えないよう、店舗内の景観に工夫する必要があります。また安易に撮影されない店舗のレイアウトや商品の配置を検討してください。もしトラブルとなった場合は、誠意のある毅然とした対応が重要です。
違法ではないが重要な問題
店内での写真撮影は、個人的に利用する範囲内であれば違法ではありません。だからといって見過ごせるケースばかりではありません。店内でのあからさまな撮影はイメージが悪く、他のお客さまに迷惑をかける場合もあります。店内マナーの問題として、適切に対処することが必要です。
まず、店内に「撮影禁止」を知らせる掲示や張り紙をします。これがないと、「禁止でなければやっても問題ない」という勝手な解釈を生んでしまいます。店内での撮影を許すか否かの判断は、お店側の権利ですから、文言は自由に決めて構いません。撮影しても構わない条件や範囲があれば、そのこともわかりやすく伝えましょう。なお、掲示する場所はお店の入口、レジ付近、商品陳列脇など目立つ場所が良いでしょう。
また、お店のホームページ上に店主の考えやメッセージを載せるのも効果的です。節度と理解を持っている方がほとんどですので、他のお客さまの迷惑になる行為などにも触れておくと良いでしょう。
次に、撮影されやすい商品が特定できる場合は、陳列場所を見直します。店員の目が届く、開放感のある場所に陳列するなどの工夫をしてください。店員やお客さまの目に触れやすい場所であれば、安易な撮影を防止できます。店内のレイアウトも、撮影されやすい配置や死角を確認してください。移動が難しい器具がある場合は、カメラやミラーなどを設置して抑制を促す方法もあります。
これらの他に店内の巡視が考えられます。これは、すぐに始められる効果的な方法ですが、あからさまにやり過ぎると他のお客さまに良い印象を与えません。お店の雰囲気にも影響しますので、整理整頓や接客行動の一環として取り入れてはどうでしょうか。
相手の言い分を聞き慎重な対応を
もし、無断で店内を撮影しているのを見つけた場合、張り紙などでうたってあることを伝え、注意します。指摘を受ければ、大抵の方は自粛します。その反応に従い応対し、トラブルを回避しましょう。もし、逆に言い訳やクレームを言われた場合には、相手の言い分を聞いて冷静に対応するよう心掛けてください。
撮影された画像の扱いも気になります。画像を確認させてもらえるか本人に聞き、その場で消去してもらいましょう。拒否されて難しい場合は、柔らかくお引き取りを願いましょう。その際は、強制的な対応にならないように注意します。
撮影者に対応するときは、問い詰めたり決めつけた言動は控えます。相手の言い分に耳を傾け、撮影がなぜ駄目なのかをきちんと説明しましょう。居座りや営業に支障をきたす行為に至れば不退去罪や威力業務妨害などに問うこともできますが、それよりも大きなトラブルとならないよう慎重に対処することが大切です。
(中小企業診断士・竹内 敏則)
撮影禁止をしっかり伝える
1.「店内は撮影禁止です」
2.「店内で写真を撮ることは他のお客さまのご迷惑になりますのでご遠慮ください」
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