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テーマ別企業事例 今こそ、新たな需要を掘り起こせ!

事例2 人と環境に優しいタオルの開発で地域ブランドの普及に貢献

ツバメタオル(大阪府泉佐野市)

日本有数のタオルの産地・泉州地域で、100余年の歴史を持つツバメタオル。20数年前から、人と地球環境に優しいタオルづくりに乗り出し、食べられるくらい安全な「有機精練タオル」をはじめ、「抗セシウムタオル」「防炎タオル」など高付加価値製品を生み出してきた。それが新たなニーズを創出し、地域ブランドの普及にも貢献している。

パート社員から正社員に登用された女性は31%で、うちマネージャー(課長クラス)に昇進した女性も2名いる。社員が仕事の改善策を研究する「一人一研究」制度で、製造現場も女性が使いやすい機械や働きやすい環境づくりが進む

「後晒し工法」で高品質誇る

古くから繊維産業が集積している大阪府南西部の泉州地域。特に日本手ぬぐいは有名で、全体の約9割がこの地で生産されてきたという。明治20年、その織機を改良して、日本初のタオル製織に成功する。それが日本を代表するタオル生産地の一つ、「泉州タオル」のルーツである。

泉州タオルの特徴は、糸切れを防いで織りやすくするために付ける糊(のり)やロウを、タオル製織してから落とす「後晒(あとざら)し工法」を採用していることだ。それにより、糊やロウだけでなく、製造の過程で付く油分や汚れも取り除かれるため、吸水性に優れた、ソフトな風合いに仕上がるのだ。そんな高品質タオルの製造一筋に、100余年の歴史を誇るのがツバメタオルである。

「タオルは手ぬぐいの5~6倍の糸を使うので、当初は高級品で庶民に手の届くものではありませんでしたが戦後、急速に普及を遂げました。昭和の終わりごろには、この辺りに生産工場やその関連会社が700社ほどあり、つくればつくるだけ売れました」と同社会長の重里(じゅうり)豊彦さんは振り返る。

しかし、バブル期を境に安価な海外製品が入ってくるようになり、国産タオルは低迷していく。そんな過渡期ともいえる昭和63年、重里さんは父親から代を引き継ぎ、社長に就任した。

息子の病気から発案 付加価値の新製品誕生

経営体質などの見直しを進めていた重里さんが、新たなタオルの開発を思い立ったのは20数年前のことだ。長男が重度のアトピー性皮膚炎で、寝ている間に体中をかきむしり、朝起きるとシーツが血で真っ赤になるのを見て、もっと肌に優しいタオルがあればと考えたのだ。

タオルの製造過程では、さまざまな化学薬品が使われている。それを一つ一つ見直し、糸に付ける糊を、昔のようにコーンスターチやジャガイモからつくった天然糊に変えた。糸の油分や不純物を取り除く精練漂白では、強アルカリのカセイソーダが使われてきたが、試行錯誤の末に酵素に切り替えた。さらに仕上げの柔軟剤も、大豆から抽出したイソフラボンにし、化学薬品の使用量を従来品の約30%まで抑えることに成功した。

「人に優しいタオルの完成に満足しましたが、仕上がりが綿本来の生成り色なので、あまり見栄えはよくありません。ですからあくまでも自宅用と考えていました」

ところが、そのタオルは同業者の間で話題となり、新聞にも取り上げられた。すると、「もっとつくってほしい」「どこで買えますか」といった問い合わせが多数寄せられたのだ。当時は量産する体制になく、製品化するつもりもなかったが、気持ちに変化が表れる。

「昔はなかったアトピーが今はあるということは、環境が崩れてきているのでしょう。このままでは、息子のような子どもが増えてしまいます。それに歯止めを掛けるためにも、当社にできることをやろうと思い、量産体制を整えて、平成19年に有機精練タオルとして発売しました」

以降、展示会にも積極的に出展し、「食べられるくらい安全なタオル」をキャッチフレーズにPRに努めた。直接肌に触れるものだけに世間の関心も高く、上々の売れ行きとなった。それを機に、環境にまつわる問題に目を向け、「抗セシウムタオル」や「防炎タオル」など、付加価値のある新製品を次々と生み出していった。

特許技術を公開して地域全体で育てる

タオルの機能もさることながら、多数のユーザーの心を捉えた要因は何か。それは高付加価値でありながら、従来品とほぼ同価格であることが大きい。金を掛ければ、いくらでも付加価値をつけることはできる。しかし、その分高くすれば、多くの人に買ってもらうのは難しい。そこで重里さんは、タオル製造の仕組みをさまざまな面から改革した。

例えば、安全で品質の良い綿糸を確保するために、インドの綿農家と直接契約したこと。タオルに最も適したオリジナルオーガニックコットンの生産を開始した。

また、自社工場の屋根に太陽光発電設備を設置。最大で1日の生産量の4分の1に当たる電力を賄うなど、タオル工場としては類を見ない環境保全型の製造システムを構築した。

さらに画期的なのは、自身が会長を務める「大阪グリーンタオル生産倶楽部」の会員企業に、有機精練の特許技術をすべて公開したことだ。技術を囲い込んで自社の売り上げを伸ばすよりも、地域全体でつくった方が販売数をはるかに増やすことができる。この取り組みにより、グリーンタオルは新たな地域ブランドに成長し、泉州タオルのブランド価値を高めることにもつながった。

「最初から新たな需要を見越してつくったわけではありませんが、結果的に多くの支持を得ることができました。タオルは生活必需品です。今後も世の中の空気を読み、ニーズをとらえて、環境によいものづくりをしていきたいですね」

重里さんの目は、すでに新たなタオルの開発へ向いている。

会社データ

社名:ツバメタオル株式会社

所在地:大阪府泉佐野市日根野7181

電話:072-467-0561

HP:https://tsubame-towel.com/

代表者:重里 豊彦 代表取締役

従業員:67人

※月刊石垣2017年2月号に掲載された記事です。

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