介護の仕事に「やりがい」と「誇り」を
ベストパートナー介護株式会社 代表取締役社長 山本 美穂
介護人材教育、介護起業支援などを実施し、県内初の介護職員初任者研修認可事業所に
「人は宝」をモットーに介護者の心を育てたい
早くに夫が病死し、看護師として15年、その後は介護支援専門員として働きながら3人の子どもを育て、40代で起業しました。遅いスタートだったかもしれませんが、この年齢だからこそクリアできたことも多く、今では回り道をして良かったと思っています。
起業当初のメーン事業は、介護コンサルタントとしての介護事業所の創業支援でした。その中で社員の研修業務などに関わるうち、強く感じるようになったのが〝人は宝〟ということ。〝人財=実際に介護を行う人材〟の質が良くなければ、どんなに良い介護事業所を目指しても限界があるのです。
そこで立ち上げたのが、職業訓練校「ベストケアスクール」です。ただ資格を取るだけではなく、介護の仕事にやりがいと誇りを持ち、プロとして働ける人材を育てることを目標にした学校で、現在では公共職業訓練実施校として県内初の介護職員初任者研修(旧・訪問介護員養成研修)を行っています。研修時間は通常の3倍ですが、生徒はテキスト代のみの負担で受講できるほか、カリキュラムには職業能力基礎訓練やビジネスマナー、パソコン、介護事務などの就職支援も含まれています。
当校で何よりも大切にしているのが〝心〟を育てること。介護はとても大変な仕事です。ただの作業になってしまえば、やりがいも感じられず、忙しさに消耗してしまいます。〝傾聴〟という言葉があるように、相手の話をただ聞くのではなく、全てに注意を払い、より深く、丁寧に耳を傾けることで、相手の伝えたいことを言葉以外からもくみ取る。技術とともに、そんな介護者に必要不可欠な心を私たちは教えているのです。
おかげさまで、介護の心を胸に巣立った1000人近い卒業生の就職率はほぼ100%と、大変うれしい結果となっています。離職率も非常に低く、採用した事業所からは、今後も継続して当校の卒業生を迎えたい、と高い評価をいただいています。
教育事業で地域活性
日立市内も他の地方都市と同様に高齢化が進み、商店街は空き店舗ばかりが目立つ状況です。そこで、今年7月、当校の日立校を商店街の真ん中に移転させました。生徒により良い環境を提供すると同時に、少しでも地域の活性化に貢献できれば、と考えたのです。介護を学ぶ生徒と高齢者、商店街の住民が、何かの形でつながっていけることを願っています。また、学校としては、卒業生がさらに上位の資格を取得できるよう、より高度な研修を取り入れることを目指しています。
日立商工会議所には、全国でも珍しい女性起業家たちの交流グループ「みゅーずnet」があり、私は会長を務めています。会員数は約50人、来年10周年を迎えます。
将来的には、グループのネットワークを生かしてメンバーが相互に連携できる体制を強化し、事業内容をますますレベルアップしていきたいと思います。
会社データ
社名:ベストパートナー介護株式会社
所在地:茨城県日立市
創業:平成21年
事業概要:介護総合事業(介護・その他の職業訓練、通所介護事業所の運営など)
※月刊石垣2014年8月号に掲載された記事です。
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