松阪市は南北に長い三重県の中央部にある人口約17万の都市です。農林業、商業のまちでしたが、最近は航空機部品のクラスター、世界的企業ゲスタンプ社の工場、ライジング社など、製造業の企業集積が進んでいます。松阪といえば松阪牛肉となりますが、松阪もめん、松阪茶も伝統商品です。
松阪の人々の歴史的誇りは、三井高利(たかとし)をはじめとする松阪発祥の江戸時代の豪商、蒲生氏郷(がもううじさと)とその居城「松坂城」、国学者の本居宣長(もとおりのりなが)です。氏郷祭りは11月、数百人の武者行列がまちをにぎやかに歩きます。宣長祭は4月、ミス松阪の顕彰や鈴おどりがあでやかです。豪商といえば、最近、松阪市が『豪商の街』として観光面での売り出しを進めています。当所としても、今年の新規事業として、現代に通じる豪商の企業活動の根底にある『商いの精神』を『豪商スピリット』と名づけ(例えば、企業活動を通じて社会に貢献する、自由で革新的な発想をもつなど)、それを体現して活躍している中小企業を『豪商スピリット企業』として認証、表彰する制度をスタートさせます。
当行は、本店を松阪におく第二地方銀行で、資金量約1兆8000億円、店舗数97です。三重県の最南部、熊野市発祥で、紀伊半島を北上し、和歌山、奈良、大阪、三重、愛知、岐阜そして東京と広い営業区域が一つの特徴です。
私の頭取就任以来、『きらりと光るあなたの銀行』をキャッチフレーズに20年間。苦しい時にも、お客さまと共に歩む銀行として、今年創業107年を迎えます。地方の経済力の低下、金融デジタライゼーションなど、金融経済環境の大きな変革期を迎える中、県内の三重銀行との合併を決断し、2021年5月、『三十三銀行』として新たにスタートする予定です。規模は約2倍になり、両行の強みを融合し、『質の高い地域ナンバーワン銀行』を目指していこうとしています。
私の座右の銘は、サムエル・ウルマンとレイモンド・チャンドラーからの合作「心青春 強く やさしく」です。老いても希望、情熱、創造力を持ち続けること、そして男は強くなくては生きていけない、やさしくなければ生きていく資格がないという生き方です。趣味は、健康ゴルフと将棋です。将棋は故大山康晴名人とお手合わせいただいたご縁で今は5段ですが、段位を汚さないよう対局は控えています。(名人とのお手合わせは、将棋でなく麻雀です。念のため)
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