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コラム石垣 2015年2月11日号 宇津井輝史

ギリシャ人は議論好きだ。ギリシャ古典哲学とローマ法とキリスト教。これらが三位一体となって西欧文明を築いた。民主主義という思想や資本主義という制度を生んだのもこの文明だ。人類の進歩への貢献という意味で比較優位に立った西欧文明は、いまなお世界を席巻している。

▼ギリシャの首都アテネは、旧東欧のブダペストやベオグラードより東にある。地中海文明圏の一番東にある国がギリシャである。イスラム世界と向き合う地政学的位置にあり、オスマン帝国の支配下にあった時期も短くない。つまりこの国には常に非ヨーロッパ的なものが流れ込み、大きな戦争ではいち早く戦場になった。大国の利害に翻弄され続けたが、古典哲学を生んだ国のプライドは高い。

▼そのギリシャがいま欧州の運命を左右しかねない立場に立っている。1月の総選挙で野党だった急進左派連合が政権に就き、党首のチプラス新首相はこれまでの緊縮財政をやめ、EUに債務削減を求めるとまで宣言した。この国は09年に巨額の財政赤字が発覚し、以来EUの財政支援を受ける見返りに緊縮策を実行してきた。過剰な公務員を解雇し、年金をカットした。物価は上がり、25歳未満の失業率は50%を超えた。これではたまらんとの国民の声に応えて登場したのが新政権である。だが海運と観光以外さしたる産業のない国で、ポピュリズム(大衆迎合)的政策が実を結ぶとは思えない。

▼EUの支援は今月末に期限を迎えるが、デフレにおびえるEUに余裕はない。欧州中央銀行が初めて量的緩和に踏み切ったが、金融政策だけでは力不足だ。ギリシャのユーロ離脱は避けたいが、欧州発の危機を避けられるか、EUは曲がり角に立った。

(文章ラボ主宰・宇津井輝史)

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