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コラム石垣 2014年9月1日号 中村恒夫

筆者の職場がある銀座のまちを歩いていると、ビルの建て替え現場をあちらこちらで目にする。銀座に限らず、東京都心では商業用ビルの新築ラッシュが続いている。

▼「資金需要は間違いなく伸びています。東京オリンピック効果もあるようです」。首都圏を地盤とする地域金融機関の役員は、東京南東部の支店の業績に触れた上で「ライバルはメガバンクです」と貸し出し競争に向けた意欲を示す。アベノミクス効果、五輪招致成功の影響は着実に表れていると言えよう。ただし、東京とその周辺に限ってのことだ。

▼日本創成会議が先に公表した提言は、今後、地方における若年女性が急減する一方で、運営が困難になる自治体が増えると指摘した。数値の正確さについては議論が分かれようが、何も手を打たなければ、こうした傾向が加速するのは確かだろう。エコノミストの中には、経済波及効果が小さい地方に投資するよりも、大都市部に資金を投入した方が得策だとする意見もある。実際、無駄としか呼べないようないろいろな公共事業の実績を考えると、その意見にも一理ある。しかし、東京なしで日本経済は成り立たないかもしれないが、東京だけが繁栄しても国民全体の幸福は決して得られないと思う。

▼安倍政権は「まち・ひと・しごと創生本部」を発足させ、個性あふれる地方の再生を目指す方針を打ち出した。地域経済の活性化は商工会議所も担うべきものだ。すでに、ある政策金融機関では「特に自治体と連携できないか、具体策の検討に入った」(執行役員)という。個々の商工会議所ではなく、地域の会議所が協力して、地方創生政策の受け皿となると同時にけん引役を果たしてほしいものである。

(時事通信社経理局長・中村恒夫)

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