政府は昨年12月20日、「働き方改革実現会議」の第5回会合を首相官邸で開催した。会合では、同一労働同一賃金に関する政府のガイドライン案について議論を行った。
ガイドライン案では、正社員と非正規雇用労働者間における基本給、手当、福利厚生などの待遇差について、問題となる例と問題とならない例を説明している。
安倍晋三首相は会議の冒頭、ガイドライン案について、基本給の趣旨・性格がさまざまである現実を認めているとした上で、「趣旨・性格に照らして、実態に違いがなければ同一の、違いがあれば違いに応じた支給を求める。正規労働者と非正規労働者の間の不合理な待遇差を認めないが、わが国の労働慣行には、十分に留意した」と述べた。
また、ガイドライン案の今後の取り扱いについては、「改正法案についての国会審議を踏まえて最終的に確定していき、改正法の施行日に施行する。今後、ガイドライン案を基に、法改正の議論を行っていく」との考えを示した。
日本商工会議所の三村明夫会頭は、「ガイドライン案で不合理な待遇差になるかどうかの考え方を示していく方向性に異論はない」との考えを示した。一方、課題として、「グレーゾーンの範囲がいまだ広い」と指摘。「同一労働同一賃金がきちんと定義されていないために、どの程度の範囲や基準なら許容されるのか、判定は極めて困難である」と述べた。
政府に対しては、ガイドライン案の主旨の丁寧な説明、労働者と企業双方から意見を聞く相談窓口の設置を要望。また、企業の予見可能性を高め、現場の実態に即した仕組みとするため、「労働政策審議会」などの場で企業の声を聞くとともに、コンメンタールを整備するなど、できるだけグレーゾーンを少なくする取り組みを求めた。さらに、企業側の体制が整うまでの十分な準備期間を設けるよう訴えた。
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