厚生労働省はこのほど、都道府県労働局に設置されている全ての地方最低賃金審議会が答申した平成28年度の地域別最低賃金の改定額を公表した。答申での全国加重平均額は、昨年度から25円引き上げの823円(時給)となり、全都道府県で700円を超える。25円の引き上げは、最低賃金額が時給のみで示されるようになった平成14年度以降、最大の引き上げ。
今回公表された改定額は、7月28日に厚生労働大臣の諮問機関である中央最低賃金審議会が示した「平成28年度地域別最低賃金額改定の目安について」などを参考として、地方最低賃金審議会で改定額を調査・審議した結果を取りまとめたもの。答申された改定額は、都道府県労働局での関係労使からの異議申し出に関する手続きを経た上で、都道府県労働局長の決定により、10月1日から10月中旬までに順次発効される予定となっている。
時給が最も高いのは、東京の932円で、神奈川の930円、大阪の883円が後に続く。最も低いのは、宮崎と沖縄の714円。これまで時給が600円台だった16県は今回の引き上げで700円台となり、全ての都道府県で時給が700円を超える。
中小企業に支援策
今回の答申を受け、経済産業省と厚生労働省は、最低賃金引き上げに向けた環境整備のために、中小企業・小規模事業者向けの支援策として、「キャリアアップ助成金」の拡充などを行うことを発表した。キャリアアップ助成金は、有期契約労働者などの正社員化、人材育成、処遇改善を行った事業主に対する助成制度。キャリアアップ助成金の「賃金規定等改定(処遇改善コース)」においては、全てまたは一部の有期契約労働者などの基本給の賃金規定などを2%以上増額改定し、昇給した場合、助成措置が受けられる。
今回措置された拡充策では、中小企業が賃金規定などを3%以上増額改定した場合について、助成額を加算する案が盛り込まれている。そのほか、支給要件についても、キャリアアップ計画書の提出期限などが緩和されている。
詳細は、http://www.meti.go.jp/press/2016/08/20160810005/20160810005.html、 http://www.meti.go.jp/press/2016/08/20160825007/20160825007.htmlを参照。
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