中央最低賃金審議会はこのほど、平成28年度地域別最低賃金額改定の目安について、塩崎恭久厚生労働大臣に答申した。今年度の目安が示した引き上げ額の全国加重平均は24円となった。
各都道府県の引き上げ額の目安は、都道府県の経済実態に応じ、全都道府県をABCDの4ランクに分けて提示。Aランク(東京、大阪など5都府県)は25円、Bランク(埼玉、京都など11府県)は24円、Cランク(北海道、福岡など14道県)は22円、Dランク(青森、沖縄など17県)は21円となった。
今後は、各地方最低賃金審議会で、この答申を参考にしつつ、地域における賃金実態調査や参考人の意見なども踏まえた調査審議の上、答申を行い、各都道府県労働局長が地域別最低賃金額を決定する。
審議会に先立ち開催された目安に関する小委員会(中央最低賃金審議会の下部組織)では、労使双方の意見に大きな隔たりがあることから、最終的には公益委員による見解が示されることになり、その見解が審議会の答申となった。
同小委員会では、使用者側委員から、中小企業は人手不足・事業承継の問題が深刻化し、総じて厳しい経営状況にあることを説明。「近年の最低賃金は、景気や経営の実態とは関係なく、いわゆる『時々の事情』によって、大幅な引き上げが行われ続けてきた。経営基盤の弱い中小零細企業にとっては、経営体質を強化できる支援策が拡充されないままに、大幅な最低賃金引上げに対応することは困難」と訴え、景気や経営実態にそぐわない最低賃金の大幅な引き上げが続くことによる雇用や地域経済への影響について懸念を示した。
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