中小企業庁はこのほど、平成27年度における下請代金支払遅延等防止法に基づく取り締まり状況などを公表した。書面調査は、親事業者と下請け事業者合わせて約20万社に対して実施。違反の恐れのある親事業者1053社に立ち入り検査などを行い、955社の改善指導を行った。取り締まり状況などの概要は次の通り。
親・下請け事業者20万社に書面調査
平成27年度には、親事業者4万5551社(平成26年度4万5937社)に下請け事業者15万7735社(同19万4688社)を加えた計20万3286社(同24万625社)に対して書面調査を実施した。中小企業庁および地方の各経済産業局では、下請け事業者から下請代金法に違反する恐れのある事業者についての情報提供・申告の受け付けを随時行っており、平成27年度は102件(同63件)を受け付けた。
また、違反の恐れのある1053社(同1115社)に対して立ち入り検査などを実施し、そのうち955社(同999社)に対して書面により改善指導を行った。
親事業者に対する立ち入り検査によって明らかとなった違反行為の中で、特に下請け事業者に対する影響が重大である案件については、下請代金法第6条に基づいて、中小企業庁長官から公正取引委員会に対して措置請求を行うとともに企業名を公表しているが、平成27年度においては、0件(同1件)であった。
違反が認められた親事業者のうち270件に対しては、減額した下請代金、支払遅延に係る遅延利息などについて、合計で約2億1600万円(平成26年度2億1100万円)の返還を指導した。
実体規定違反最多は支払遅延
違反の内容としては、実体規定関係の禁止行為の違反として「支払代金の支払遅延」「下請代金の減額」が、また、手続き規定関係の義務違反として発注時の書面の不備や未交付が多く見られ、これら禁止行為や義務違反に対し、改善指導を行った。また、下請代金法の違反行為が今後生じることのないよう、これらの親事業者に対して、社内における体制整備など再発防止についての指導を行った。
また、消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のための消費税の転嫁を阻害する行為の是正等に関する特別措置法(消費税転嫁対策特別措置法)および下請代金法の間で密接な協力体制を構築することにより、より効果的で効率的な運用を確保することとした。
特別事情聴取で改善を徹底
立入検査とは別に、平成20年度から、①書面調査が未提出の事業者、②改善指導を連続して受けた事業者、③改善報告書の提出が遅れている事業者などに対して、中小企業庁および経済産業局の幹部らが、社内体制の状況、違反行為が繰り返される理由、今後の改善方針などについての特別事情聴取を行っている。
平成27年度は、5社を対象に特別事情聴取を実施し、違反などの発生原因を確認するとともに、社内説明会や研修の実施、コンプライアンス委員会の設置、内部監査の強化などによって、下請代金法の遵守を徹底する体制の整備などについての取り組み状況を確認した。
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