結城商工会議所(茨城県)が事務局を務めるTMO結城は、共有オフィスやインキュベーションスペース、カフェなどを有する施設「yuinowa(ゆいのわ)」を運営している。呉服店の空き店舗を改修し昨年9月5日にオープンした同施設は、同所、結城市、白鴎大学、ヤフーが連携して設立。利用者同士で交流を深められる施設として好評だ。地域内外から人が集まる拠点とすることで、将来的に移住者・定住者増につなげることを目指す。
共有オフィスは電源や無線LANを完備し、ノートパソコンなどを持ち込んで作業ができる。現在は主にフリーランスとして働く若者が活用している。さまざまな分野の人材が集まることから、同施設における出会いをきっかけとして新しい仕事が決まることもあるという。
同施設は、テレワークの拠点としても活用されている。現在、東京都に拠点を持つ不動産業やIT業など4社が利用。各社の社員は、同施設のインターネット環境などを生かし、本社から離れた場所で従来の業務を行うとともに、同施設の支援も行っている。例えば、不動産業を営む企業は都内に共有オフィスを持つ。そのノウハウを同施設の運営に生かしている。
同市では、人口増を目指すため「お試し移住」の取り組みを行っている。現在、1泊2日または2泊3日の日程で、地元の2社が職業体験を提供している。この短期移住の取り組みにも、同施設が拠点として活用されている。同施設のホームページには、お試し移住の紹介記事が写真付きで紹介されているが、この記事を作成したのは同施設を利用しているウェブデザイナーやカメラマンだ。また、移住者に対する相談会なども同施設で開催される。
同市は人口流出に悩んでおり、原因として「やりたい仕事の選択肢が少ない」「人が集まれる拠点など、求める都市機能がない」などが挙げられるという。そのような問題を解決するために、人が集まれる共有オフィスやテレワーク拠点などの機能を持つ同施設が考案された。
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