資源エネルギー庁はこのほど、FIT(再生可能エネルギー固定価格買取制度)に基づいて、2016年度の電力利用者が負担する賦課金単価と新規参入者向け買取価格を決定した。賦課金単価は電力1kWh当たり2・25円と4年連続上昇し、当初の約10倍の国民負担増となった。新単価は5月分の電気料金から適用される。
再生可能エネルギーの買取費用は、電力の利用者が電気料金で負担する。政府は、毎年度の買取費用を想定した上で、電気料金に上乗せする賦課金の単価を算定。太陽光発電の稼働率上昇などの要因で、16年度は買取費用を4630億円増の2兆3000億円(15年度は1兆8370億円)と見込んでいる。
これにより、標準的な家庭(月間使用量300kWh)の電気料金上乗せ分は月額675円になり、201円の増額。年額では8100円の負担となる見込みとなっている。
一方、16年度の新規参入者向け調達価格のうち、10kW以上の非住宅用太陽光は15年度の27円/kWh(税抜き)から16年度は24円/kWh(税抜き)に、10kW未満の住宅用太陽光(出力制御対応機器設置義務なし)は33円/kWh(税込み)から31円/kWh(税込み)に、それぞれ引き下げ。その他の再生可能エネルギー(風力、地熱、中小水力、バイオマス)の買取価格は据え置かれた。
FITは、毎年、当該年度の賦課金が前年度までの賦課金の上に積み重なっていく制度。そのため、日本商工会議所では、「国民負担抑制効果が確実に見込める内容でのFIT制度の抜本的見直しが急務」と主張しているが改善のペースは遅い。今回の新規参入者向け調達価格引き下げについては日商の要望が実現したものの、再エネ導入促進と国民負担抑制の両立に向けた見直しが必要な状況が続いている。
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