政府は2月23日、「第5回一億総活躍国民会議」を開催した。会議では、非正規雇用労働者の待遇改善、高齢者・若者の就業促進などについて議論。会議に出席した日本商工会議所の三村明夫会頭は、「同一労働同一賃金」について、「考え方が非正規労働者に対し『不合理な理由による不利益な扱いをしてはならない』という趣旨であるならば、総論としては理解できる」との考えを示した。
一方、同一労働の定義を明確にできるかが課題と強調。「定義が明確でないままに、例えば合理的理由の立証責任が企業側にのみ課せられるとすれば、現場は大変な混乱を引き起こすことになる」と警鐘を鳴らすとともに、「終身雇用や年功序列との関係、キャリアコースや勤続年数の違いなどによる賃金格差についてガイドラインなどで具体的に整理ができるのか」と疑問を呈した。
また、中小企業の影響について、「労務対策上の負担が過大になる」と懸念を表明。無用な労使紛争を未然に防止し、経営の予見可能性を確保するため、慎重な検討を要請した。
安倍首相は、「わが国の雇用慣行には十分に留意しつつ、同時に躊躇なく法改正の準備を進める」と強調し、現行法の改正に意欲を示した。また、どのような賃金差が正当でないと認められるかについてのガイドラインを政府として早期に制定し、事例を示していくことも表明。法律家などからなる専門的検討の場を立ち上げ、欧州での法律の運用実態の把握などを進めていく方針を示した。
高齢者雇用については、企業の自発的な動きが広げるため、今春策定予定の「ニッポン一億総活躍プラン」に向け、65歳までの定年延長や、65歳以降の雇用継続を行う企業などに対する抜本的な支援・環境整備策のパッケージの検討を関係省庁に指示。経済界に対して、再就職の受け入れについて協力を求めた。
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