日本生産性本部はこのほど、新型コロナウイルス感染症が組織で働く人の意識に及ぼす影響に関する調査(第1回「働く人の意識調査」)の結果を公表した。
同調査は、政府による緊急事態宣言の発出から約1カ月後の5月11~13日、20歳以上の日本の雇用者(就業者から自営業者、家族従業者などを除く)1100人を対象にインターネットを通じて行った。
労働時間・業務時間の変化、業種別・労働時間の変化については、労働時間・業務量・余暇時間とも「特に増減は無い」が4割以上だった。労働時間は43・2%、業務量は37・6%が「減少した」と答えた一方、余暇時間は42・8%が「増加した」と回答。労働時間の増減は業種による差が大きく、特に宿泊業(100%)、飲食サービス業(89・2%)で「減少した」の割合が多い。
新型コロナによる働き方の変化については、「特に変化はない」が40・7%で最多、「多少変わった」が35・0%、「大きく変わった」が24・3%だった。職種別に見ると、「専門的・技術的な仕事」「管理的な仕事」で3割以上が「大きく変わった」一方、「生産工程の仕事」「輸送・機械運転の仕事」「建設・採掘の仕事」「運搬・清掃・包装などの仕事」では6~7割が「特に変化はない」としている。柔軟な働き方の施策は、「特にない」が46・3%で最多。「自宅での勤務」が29・0%、「時差出勤」が16・3%、「短時間勤務」が15・4%で、柔軟な働き方が一般化したとはいえない。直近1週間の出勤日(営業日ベース)では、「1~2日」が37・3%で最多、「0日」が32・1%、「3~4日」が21・1%、「5日以上」が9・5%で、2日以下の出勤が約7割を占める。
自宅での勤務の効率が「上がった」との実感は3割強にとどまる。自宅での勤務の満足感は、「満足している」が18・8%、「どちらかと言えば満足している」が38・2%と、約6割が満足。テレワーク実施における課題は、「職場に行かないと閲覧できない資料・データのネット上での共有化」が48・8%と最多。「Wi-Fiなど通信環境の整備」が45・1%、「部屋、机、椅子、照明など物理的環境の整備」が43・9%と続く。「特に課題は感じていない」は8・4%にとどまり、多くの人が現状に不都合を感じていることが分かる。
新型コロナ収束後の働き方や生活様式の変化については、収束後もテレワークを継続したいかは、「そう思う」が24・3%、「どちらかと言えばそう思う」が38・4%と、6割強が肯定的で、満足感と符合する。収束後も働き方や生活様式の変化は起こり得るかについては、多くの項目で「どちらかと言えば起こり得る」「どちらかと言えば起こり得ない」が多かった。その中で、「業務の要不要の見直し」「Web会議の普及」「時間管理の柔軟化」「決裁方法のデジタル化」は、比較的変化の可能性が高いとみられる。
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