安養寺窯(宮城県仙台市)は窯元として、幻の安養寺下窯の復興のため地場産品の開発を目指し、今日に至る。1989年、奈良時代後半から平安時代初期にかけての半地下式の登り窯(安養寺窯)がほぼ完全な形で発掘された。登り窯では陸奥国分寺や多賀城の瓦が生産されたとみられ、保存状態のよい半地下式の窯跡は全国でも少ないといわれているだけに、古代の瓦工場の全容を解明する上で有力な手掛かりになると期待されている。
今回、日本商工会議所会頭賞に輝いたのは、安養寺窯の、風流な形が印象的な持ちやすい酒器「酒勾瓶 一合」。薄くて接合部が多いのが特徴で、ノウハウが無いとまねしても壊れてしまう技の極み。令和を機に9枚のパーツを使い、全面改良した。握力の弱い人や不意に手から抜け落ちるのを未然に防止する機能性重視の優れもの。中指と薬指が楕円(だえん)空洞に自然に収まる。意外性に驚くも、一度使うと忘れられない安心感がある。右手用のほか、左手用も完成し、選択も可能だ。2019年に商標登録取得。宮城県のふるさと納税・返礼品に採用されている。
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