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こんなときどうする会社の法律Q&A 【今月のテーマ】外国公務員への贈賄リスクとその対応

Q 当社は、海外支社を設立準備中ですが、同国ではお役人に付け届けや接待をしないとビジネスがスムーズにいかないと聞いています。「多少のことなら摘発されない」とのことですが、国内で法律違反にならないか心配です。国内で罰せられたり、責任を負わされたりしないのでしょうか。また海外活動で公務員への対応について、参考になるものはないでしょうか。

A 外国公務員への贈賄などは、その国の法律に触れることになります。またわが国の法律「不正競争防止法」で処罰されることがあります。外国公務員への対応は、贈賄リスクの回避を中心に企業全体で防止対策を構築する必要があります。経済産業省がそのための指針を公表していますので参考にしてください。

海外事業活動と贈賄リスク

日本企業の海外での活動が増すにつれ、外国公務員に贈賄をしてしまう危険性、いわゆる「贈賄リスク」が増しています。

外国公務員に対する贈賄は、法的にはその国の贈賄罪に該当しますが、国情によっては摘発率が低いことから、特に一部の国では賄賂がビジネスにつきものといった認識があるようです。しかし、それらの国でも腐敗防止対応が進み処罰の可能性が増していることから、現実のリスクになりつつあります。また、アメリカが「海外腐敗防止法(PCPA)」の「域外適用」をして、日本某社のナイジェリアでの贈賄供与を問責し、同社が約2億ドルの罰金を払った例もあるように、国際的にもリスクは増大しています。

なお、外国公務員への贈賄は、日本の国内法では贈賄罪(刑法198条)が成立しません。

このため、国内では処罰されないと理解している人が多いのですがこれは誤解です。後記の「不正競争防止法」で処罰対象とされていますので注意が必要です。

不正競争防止法と賄賂防止条約、国際的批判

「不正競争防止法」は、国際的取引での外国公務員などに対する営業上の不正な利益の供与を禁止しており(18条)、これに違反した者は5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金または併科と定めています(21条2項)。そのため、外国公務員に賄賂を贈れば、国内法にも抵触する可能性があることに注意を払う必要があります。

この規定は、平成10年に「OECD外国公務員贈賄防止条約」の承認に伴い新設されたもので、相当期間経過していますが摘発が僅かであまり知られていません。

しかし平成24年、OECDの前記条約に関する「フェーズ3対日審査報告書」が、「日本は外国での贈賄事案に対して積極的に捜査・調査しているようには見えない」「外国公務員贈賄防止法の執行状況に依然として重大な懸念が残る」と批判したことから摘発の活発化も予想され、知らなかったでは済まない状況になりつつあります。

外国公務員贈賄防止のための実務対策

外国公務員に対する贈賄は、諸外国の実情の相違、賄賂性の判断が困難、法律の知識不足、必要悪的側面の存在などの理由から、企業がどう対処するか極めて難しい問題です。しかし、上記のような国際的動向や法適用の加速化などから、きちんとした取り組みが必要です。 そのため、海外で事業活動を行う企業の贈賄リスクを回避するための内部統制システムの構築が、取締役の履行すべき善管注意義務になってきているのです。

どのような取り組みをすればよいのか、という悩みには経済産業省の「外国公務員贈賄防止指針(平成27年改訂)」に沿って行うのがベストでしょう。

同指針では、基本方針や社内規定の策定、組織体制の整備、社内教育活動、監査などの対策を提示するとともに不正競争防止法の処罰対象の範囲など多岐にわたり説明しているので、大いに参考になります。

(弁護士・芥川 基)

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