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「下町育ちの再建王」の経営指南 企業はいまこそ蛻変(ぜいへん)するとき

科学の進歩にともない時代が変わると、価値観も大きく変化します。180度変わることを意味する「コペルニクス的転回」という言葉も、天動説の時代から地動説に変わったことに由来しています。昨今の問題を例にとると、人は男か女のどちらかであるという性別二元論の基本が崩れ、今はセクシュアルマイノリティー=性的少数派を不当に差別してはいけない時代になりました。

経営者たるものは、時流・時代感覚が大切。これまでの自分の言動とブレることに二の足を踏まない勇気が必要です。

‶withコロナ〟の時代になり、全ての業種が少なからず変化を求められています。というよりも、変わらないと生き残れません。

着物業界を例に取ると、私が関係している岡野という博多織の老舗は、コロナ自粛の間、GINZA SIXなどの商業施設の店舗には、お客さまが来店できず、ホテル催事もできないために全店舗休んでいました。今後もこれまでの販売方法ではやっていけなくなるのは目に見えています。着物業界はいわば衰退産業で、将来のあり方はこれまでにもいろいろと検討済みでした。デジタルトランスフォーメーション(DX)を想定し、数年前から手を打ちはじめていたので、急スピードでそちらに舵(かじ)を取ることにしました。どのようなことかというと、博多織という技術と素材を生かした、和装ではない商品の開発です。例えば、ネクタイやスカーフ、ハンドバッグなどのアイテムを揃え、販売方法もこれまでの営業マンによる外商や展示会ではなく、EC(電子商取引)を基本に考えています。目下のターゲットは、中国の11月11日の「独身の日」で、越境EC販売です。急なことなので、当面は着物の売り上げを頼りにせざるを得ませんが、数年かけながら、世界に出ていく予定です。

岡野の本体はそのまま。しかし商品はガラリと変わります。セミの卵が幼虫からさなぎになり、羽化して成虫になっていくことを蛻変(ぜいへん)と呼びますが、事業は生き残ることが最優先。イモムシが蝶に変わるように形を変えて生き残っていくしかありません。

これから1年で蛻変するつもりにならないと、中小企業は生き残れないでしょう。米国は経済覇権を手放したくないために、中国との対抗姿勢をますます強めますが、新型コロナウイルスの問題がこのまま終息の方向に向かうと、2026年から28年には中国に覇権が移動し始めるでしょう。というのも、コロナ問題が終息したら、米国経済がガタガタであることが露見するからです。米国に片足をかけたビジネスをしている企業も、まさに蛻変のときです。

小山 政彦(こやま・まさひこ) 株式会社 風土 代表取締役会長 (前 船井総合研究所 代表取締役会長) 1947年、東京生まれ。開成高校卒。早稲田大学理工学部数学科卒業後、実家のディスカウントストア経営に携わる。84年、船井総合研究所に入社。6年後には売り上げ3億円のNo.1コンサルタントになる。2000年の社長就任後は大証2部から東証1部上場、離職率20%台を6%までに改善、賞与支給No.1企業など経営者としても手腕を振るう。10年には代表取締役会長に就任。13年3月をもって退任し、現在は㈱風?代表取締役会長を務める。著書に『ベタ惚れさせるマネージメント』(講談社)、『9割の会社は人材育成で決まる!』(中経出版)など多数

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担当:髙橋

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