政府は3日、第40回未来投資会議を首相官邸で開催した。オンラインで会議に出席した日本商工会議所の三村明夫会頭は安倍晋三首相らに成長戦略実行計画案について意見を述べた。
三村会頭は、成長戦略実行計画に関して全体としては異論なく、大企業と中小企業の共存共栄関係が盛り込まれたことを高く評価した。その上で、今回のコロナ禍でのわが国の在り方について2点指摘した。
第一に、今後、未来投資会議を拡大して行われる、ポストコロナに向けた日本の社会像・国家像を構想するための議論に関して、「ますます厳しさ、複雑さを増す国際情勢の下、各国ともコロナで大きな打撃を受けている中で、日本が相対的に経済力とプレゼンスを高め、世界秩序の安定化にもしっかり貢献するための礎を、コロナ禍を契機として、官民挙げて築き上げるチャンスが到来した」との認識を示した。その際、議論すべき個別具体的なテーマを所与のものとして提示するのではなく、網羅的な課題認識の中から、特に議論すべきテーマを抽出・編集したプロセスも併せて示すよう求めた。
さらに、コロナによって明らかになった日本の弱みの克服、併せて強み、これには日本で死亡率が非常に低い要因であるファクターXを含め、その解明と活用、コロナ後の世界秩序の望ましい姿、あるいはコロナにより変化した点・変化しない点を見極め、その中で日本が軸とすべき立ち位置、日本のプレゼンスを確保するための必要条件といった点を明らかにすることの重要性について強調した。
第二に、行政手続きの再構築に関して、「今回のコロナ対策実行の過程で打ち出された数々の有効な支援策を必要な人に迅速に届ける行政の仕組みに、致命的欠陥があることが露呈した」と提起。「将来、コロナ禍と同様の災害が発生することも大いにあり得る中、今回を機に、日本社会のデジタル化の遅れを取り戻すための先導役としても、本腰を入れて取り組むことが必要不可欠」との認識を示した。「その際、単にデジタル機器を用いるというのではなく、窓口行政、押印原則、書面主義などの旧来型の行政手続きを、デジタル技術やマイナンバーの積極活用を通じて、より柔軟で利便性の高い様式に設計し直すことが肝要と考える。それに伴い、政府が昨年末に策定した『デジタル・ガバメント実行計画』も見直しを加速していくことが必要」と述べた。
安倍首相は、未来投資会議においては、新型コロナウイルス感染症の時代、さらにはその先の未来の新たな社会像、国家像を構想するため、今月後半より本会議を拡大し、幅広く意見を聞きながら新たな議論を開始することを表明。「新しい働き方を定着させ、地方創生を推進し、デジタル化を進めるとともに、変化への対応力があり、強靱(きょうじん)性や持続可能性を持った、長期的な視点に立った社会像を追求していきたい」との考えを示した。
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