日本商工会議所はこのほど、6月の商工会議所LOBO(早期景気観測)調査結果と共に、新型コロナウイルスによる経営への影響に関する調査の結果を発表した。
新型コロナによる経営への影響については、「影響が続いている」は5月調査から2・6ポイント減少し62・9%だった。「経済活動の停滞が長期化すると影響が出る懸念がある」と合わせて93・0%となった。
また、新型コロナの影響を踏まえた雇用・採用関連の対応については、「雇用調整助成金を検討・申し込み」が47・7%と最も多く、4月調査から5・9ポイント増加した。経営への影響が続いている企業は6割超と依然として高水準となり、緊急事態宣言は解除されたものの、今なお多くの企業で影響が生じていることが読み取れる。しかしながら、「従業員の人員整理を検討・実施」は3・9%と最も低く、0・4ポイント減少した。新型コロナによる経営への影響が長期化する中、雇用調整助成金などを活用しながら雇用を守ろうとする中小企業の姿勢がうかがえる。
新型コロナの感染防止と事業継続の両立に向けた対応については、「対応を取っている」が87・0%、「特別な対応は取っていない」が13・0%となった。対応の具体的な内容としては、「店舗・オフィスなどの定期的な消毒・換気、従業員・顧客の検温、手洗い、手指の消毒徹底」が53・3%で最も多かった。次いで、「会議の開催頻度・時間・人数の削減・制限」が36・7%、「出張の原則禁止・制限」が32・8%、「営業時間の短縮・営業日数の削減」が31・6%となった。会議・稟議のオンライン化やテレワークなどの取り組みは全体の2割以下にとどまった。
約9割の企業が感染防止と事業継続の両立に向けた対応を実施しているという結果となり、中小企業においても「新しい生活様式」への取り組みが進められている。企業からは、これを機に働き方を変えていきたいという前向きな声がある一方で、感染防止対策でコストが増加している、ソーシャルディスタンス確保を徹底すると従来のビジネスモデルでは採算が取れないといった切実な声も聞かれた。
最新号を紙面で読める!