日本商工会議所はこのほど、簿記検定に「原価計算初級試験」を創設し、2018年4月から実施することを発表した。同試験は、初学者を対象とした原価計算の基本原理および日常業務における実践的な知識の習得が目的。生産性の向上が求められている現在、原価計算は経理・会計担当者のみならず、業種・職種を問わず企業人全てに理解・習得が期待されていることから、初級~1級が設定されている現行の簿記検定に加えて原価計算試験を新設することとした。
原価計算の学習は製造業をモデルとし簿記の習得を前提とすることが一般的だが、同試験は、製造業のみならず飲食店・小売業・サービス業など幅広い業種をモデルとし、簿記の学習の有無を問わず原価計算の基本を学べるのが特長。少子高齢化により日本の労働力人口が急速に減少する中、企業においては、深刻化する人手不足の克服に向けて、ITの利活用や人材育成などを通じて生産性向上に取り組むことが大きな経営課題となっている。生産性向上を図るには、自社の製品・サービスの原価(コスト)と売り上げ、利益を正確に把握しておくことが必要であり、これを求める「原価計算」は、生産性を見える化し、その向上を図る上で必要となる知識・スキルとなる。
試験は、実施から採点、合否判定を、インターネット上で行うネット試験方式で実施する。このため、企業・教育機関などにおいて学習の進ちょくに合わせて試験を活用できる。なお、試験会場は商工会議所が認定するため、自宅で受験することはできない。試験日時は、試験施行機関が決定する。合格基準は100点満点で70点以上。試験時間は40分で、受験料は2160円(税込み)となっている。
日商簿記検定は、簿記・会計技能の資質向上、商工技術・技能の向上発展、産業人材の育成を目的に、1954年に施行を開始して以来、累計で2600万人以上が受験している。
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