先般の内閣改造に当たり、三村会頭より、経済最優先で政策を遂行してほしいというコメントを頂きました。商工会議所の皆さまのご協力も頂きながら、これからも「経済最優先」で誠心誠意取り組んでいく。その決意をまず冒頭、改めて申し上げます。
日本商工会議所の皆さまは、災害が起きる度に、被災された方々に寄り添い地元の復興に取り組まれてきました。
九州北部豪雨においては、災害が発生してから直ちに現地の商工会議所に特別相談窓口が設けられ、被災事業者の方々に寄り添った助言をなされました。現地の青年部は、行政による支援に先んじて、地元の中高生と協力しながら支援物資の調達を行いました。地域の人々と手を携え、迅速に被災者支援を行う。日頃から地域の人々との信頼関係を築かれている、商工会議所の皆さまだからこそできる支援の在り方です。今後も、このような地域に密着した被災地支援の取り組みを続けていただくことを期待しております。
昨今の世界情勢に目を向けると、私たちは変化と不確実性の時代に生きているといえます。日本として、自由で開かれた国際秩序を維持・拡大するため、国際社会の平和と繁栄をリードしてまいります。今年7月、4年以上の交渉を経て、EUとの経済連携協定が大枠合意に至りました。人口6億人、世界のGDPの約3割を占める日本とEUによる、世界で最大級の規模の、自由で公正なルールに基づく経済圏が新たに誕生することになります。保護主義的な動きがある中で、日EUが自由貿易の旗手として、その旗を高く掲げ続けるとの強い政治的意思を示せたことは誇るべき成果です。
特に、工業製品は100%の関税撤廃を実現しました。現在乗用車にかかる10%の関税は、8年目に撤廃されます。また、自動車部品も、貿易額で92・1%の品目について関税の即時撤廃で合意し、TPPを上回る高い水準を実現しました。一日も早く署名・発効出来るよう、引き続き交渉を進めてまいります。また、日EU・EPAを真にわが国の経済成長に直結させなければなりません。地方の中小企業にとって、EU市場は大きなチャンスであります。企業の海外展開や競争力強化を図る支援を行ってまいります。
日本経済に目を転じると、アベノミクス「3本の矢」を通じて、名目GDPは50兆円、税収は22兆円増え、企業収益は過去最高となっております。雇用は185万人増加し、正社員の有効求人倍率は、調査を開始してから初めて1倍を超えました。
中小企業全体を取り巻く状況も改善傾向にあります。中小企業の資金繰りはリーマンショック前の2007年を上回る水準にまで改善し、倒産件数はこの四半世紀で最も少なく、中小企業の経常利益も過去最高となっています。しかし近年、中小企業の全業種で人手不足となっており、人口が減少していく中で人手不足は今後ますます深刻化することが予想されます。そのために安倍政権は、2つの革命、「人づくり革命」と「生産性革命」を進めてまいります。
人生100年の時代を迎える中において、日本の経済社会は人が中心であります。人が活躍しなければ社会は発展しない。経済は成長しない。日本が誇りある国として存在し続けることはできないわけであります。
一億総活躍社会をつくり上げる上で、人づくり革命は正に本丸です。子供たちの誰もが家庭の経済事情にかかわらず、夢に向かって頑張ることができる社会、幾つになっても学び直しができ、新しいことにチャレンジできる社会を実現する。そのために安倍政権は「人づくり革命」を推し進めます。先日、私を議長とする「人生100年時代構想会議」を立ち上げました。人生100年時代を見据えた経済社会の在り方を大胆に構想してまいります。
同時に、「生産性革命」を進めてまいります。現在の日本経済は、需給ギャップが縮小しており、GDPは拡大している一方で、潜在成長率の伸びが十分ではありません。サプライサイドの改革による潜在成長率の引き上げが、日本経済の最大の課題です。
そこで、政府としてIoT、ロボットなどの生産性を飛躍的に高める投資を本格化させます。例えば、生産性を1%以上向上させることを要件として、固定資産税を3年間半減させるなどの支援措置を講じた中小企業等経営強化法の認定企業は1年間で2万7000社になりました。
「生産性革命」の議論を行うため、先日、未来投資会議を開催しました。「生産性革命」によって、持続的な賃上げを可能とし、デフレからの脱却を実現する。そのために、予算、税制、規制改革などの施策を総動員していく。「生産性革命」を実現するための画期的な施策を今後具体化してまいります。
以上申し上げた「人づくり革命」と「生産性革命」を車の両輪として、アベノミクスを今後さらに加速させてまいります。そのためには、全国の中小企業のリーダーである日本商工会議所の皆さまのご協力を頂き、日本全体にこの取り組みを広げていかなければなりません。日本商工会議所の皆さまにおかれましては、今後とも地域経済の発展のためご活躍いただきたいと思います。 (9月21日)
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