日本商工会議所の三村明夫会頭は8日、日商を訪れた加藤勝信厚生労働大臣から、新型コロナウイルス感染症に係る雇用維持への配慮について要請された。
新型コロナによる内外経済や雇用情勢への影響が懸念されていることから、加藤厚生労働大臣が三村会頭に要請書を手交した。
要請は、①雇用調整助成金の特例措置を活用し、従業員の休業手当をしっかりと支払い、雇用の維持に努めることおよび新型コロナウイルス感染症対応休業支援金について従業員から申請があった際に適切に対応すること、②職を失った人の積極的な雇い入れ、また新卒者の採用への配慮、③2020年度卒業予定者などが十分な就職活動を行えるよう、多様な通信手段を活用した説明会の実施などの柔軟な対応、④有期契約労働者、パートタイム労働者などの雇用の安定に向けた配慮、⑤派遣労働者、外国人労働者の雇用安定に向けた配慮、⑥障がい者など課題を抱える人の雇用の安定に向けた配慮、⑦労働者の生活の激変を緩和し求職活動への支障が生じないよう、住居確保給付金の活用により、社員寮などに入居している労働者の離職後の入居への配慮、⑧子どもの世話や家族の介護が必要な労働者が必要な場合に安心して休めるよう、小学校休業等対応助成金や介護のための助成金を活用した有給休暇制度の導入、⑨妊娠中の女性労働者が安心して出産を迎えられるよう、新型コロナに関する母性健康管理措置を適切に講じるとともに、新たに創設した助成金も活用し、休みやすい職場環境づくりに努め、積極的な配慮を行うこと、⑩新型コロナの拡大を防ぐため、テレワークの積極的な活用、⑪労働者が業務により新型コロナに感染した場合には、労災請求を勧奨するとともに、労災請求手続きに協力することの11項目。
三村会頭からは、雇用調整助成金の大幅な拡充および申請手続きの簡素化が図られたことに対して謝意を示すとともに、「当所が実施した調査で、新型コロナウイルスによる『影響が続いている』と回答した中小企業は62・9%で、そのうち『従業員の人員整理を検討・実施』した企業はわずか3・9%である。多くの中小企業は、事業の存続と雇用の維持に向けギリギリの努力を続けている。雇用の維持は非常に重要であり、本日要請されたことは、全国の会員企業に周知を徹底したい」と述べた。
加藤大臣からは、雇用調整助成金の迅速な給付のためにさらに態勢を強化していくとともに、接触確認アプリ「COCOA」の普及によって感染拡大防止を図りたいなどの発言があった。
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