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コラム石垣 2020年7月21日号 宇津井輝史

20世紀が始まったのは1901(明治34)年である。当時の日本人は慣れ親しむ元号以外の数え方があることなど関心がなかった。世紀が変わったからといってさしたるイベントはない。慶應義塾が同年元日に「十九~二十世紀送迎会」を開いたのが唯一の例外である。翌年発売の煙草「二十世紀」も売れなかった。

▼明治34年には東京の山手線が全通し、長距離電話が熊本や広島にも開通した。翌年、中国帰りの船客が長崎にコレラを持ち込んだ。長崎市は前年からペスト予防規則を制定してネズミの徹底駆除に乗り出している。同じ年、満足な洪水対策なき東京で暴風雨や台風が相次ぎ、大きな被害を出した。

▼明治31年に民法の親族・相続篇が成立し「家」原理が確立した。男女不平等、服従と支配の原理でもあり、その後国への忠誠に使われもした。だがこの改正で治外法権が撤廃され、先進国の仲間入りを果たした。およそ120年前の日本の姿である。

▼では当時の人は未来をどう考えていたか。明治34年1月2日と3日に『報知新聞』が「二十世紀の予言」を掲載した。これから始まる百年間で世の中がどう変わり、何が成就するか。なかなかに見事な予言である。たとえば時速240キロの鉄道が東京・神戸間を2時間半で走る。暑さ寒さを緩和する新機械が発明される。薪・石炭はなくなり電気が燃料になる。電話口には話す相手の姿が映る。自動車が安く買えるようになる。これらはほぼ実現している。

▼一方、衛生事業が進歩して蚊や蚤がいなくなる。動物と自由に会話できるようになる。これらはまだ実現していない。特に「天災は1カ月以上前に予測できるようになる」は、災害大国にとって大きな課題であり続けている。

(コラムニスト・宇津井輝史)

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