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「下町育ちの再建王」の経営指南 組織を動かす五大要素

私は理念経営が大切だと思っています。

一昔前までは、法律やルールで決まっていなくても、日本社会には綿々と受け継がれてきた共通の常識がありました。しかし現在、それは消滅しつつあります。その上、外国人労働者は急増し続けます。この環境下で仕事をするには、共通常識や共通規範をはっきり伝えることが重要となります。ですから、理念経営が大切なわけです。

そのためには、まず社員に理念を伝えることです。明文化して掲げるだけでなく、なぜそうなったのか、「創業者が〇〇したときに、こんなことがあって、これは社会にとって大切だと考えて起業した。だから、これを社の理念とすることにした」といった話を、社員全員に知っておいてもらうのです。

そして、その理念を基に経営していくためには、以下の五つの要素が大切です。

一番大切なのは共通目標で、これは各社にあるはずです。

二番目にルールや規範。ルールとは社則のことですが、規範は明文化していないのが普通です。例えば、トイレを出るときに電気を消しましょう、というのは当然のマナーですが、そういった細かいことを徹底していると、社員が外部に出たときの行動に違いが出ます。日々の行動の指導は、朝礼や社内報などによって日常の中で身に付けさせていくものです。

三番目は役割分担。組織が30人までであれば、社長を真ん中にしたクモの巣状の組織で問題ありません。しかし70人を超えると、平社員とサブリーダー、リーダーなど役職が必要で、組織を動かすためには戦略・戦術・戦闘の分担が必要です。組織が未熟な時期には、優秀な人間が幾つも兼任するしかありませんが、成熟してきたら役割分担してください。私は船井総研の社長になったとき、「大根役者だけれども、舩井幸雄に指名されて社長の役を演じ切ります。皆さんは、それぞれの得意分野で、名脇役といわれるように頑張っていただきたい」と実際に挨拶しました。

四番目は共通情報環境の提供です。全員が同じ情報を共有できなければなりません。縦型社会では情報が流れにくいので、組織には、大きくなればなるほど、縦糸と横糸が必要です。リーダー会議、グループマネジャー会議など、全く関係していないセクションの同じ役職の人が会議で情報交換するのは、横糸をつくるために非常に有効です。

そして、最後の五番目。会社は機械やコンピューターではなく、人間の集団ですから、決まった通りに動くとは限りません。人は頭で理解して、心で納得して、体で行動する生き物です。決まりごとを社員の心が納得するように、心に訴えてください。

小山 政彦(こやま・まさひこ) 株式会社 風土 代表取締役会長 (前 船井総合研究所 代表取締役会長) 1947年、東京生まれ。開成高校卒。早稲田大学理工学部数学科卒業後、実家のディスカウントストア経営に携わる。84年、船井総合研究所に入社。6年後には売り上げ3億円のNo.1コンサルタントになる。2000年の社長就任後は大証2部から東証1部上場、離職率20%台を6%までに改善、賞与支給No.1企業など経営者としても手腕を振るう。10年には代表取締役会長に就任。13年3月をもって退任し、現在は㈱風土代表取締役会長を務める。著書に『ベタ惚れさせるマネージメント』(講談社)、『9割の会社は人材育成で決まる!』(中経出版)など多数

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社名:株式会社 風土

TEL:03-5423-2323

担当:髙橋

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