日本商工会議所は2月28日、2月の商工会議所LOBO(早期景気観測)調査結果を発表した。調査期間は2月13~19日。全国422商工会議所が3889企業にヒアリングした。
2月の全産業合計の業況DIは、マイナス17・1と、前月からマイナス2・7ポイントの悪化。記録的な大雪・寒波による客足減少や物流混乱の影響に加え、深刻な人手不足、鉄鋼や農産物などの仕入価格の高止まり、燃料費の上昇が、広く業況の押し下げ要因となった。他方、電子部品や産業用機械、自動車関連の生産、都市部を中心とした再開発、設備投資は引き続き堅調に推移している。中小企業の景況感は、総じて緩やかな回復基調が続いているものの、足踏み状況が見られる。
ヒアリングした企業からは、「降雪の影響で、来店客数が減少し、売り上げは悪化。株価の急落など金融市場が不安定なため、今後、ブランド品など高額商品の需要が減少するのではないかと懸念」(衣料品小売)、「中国や欧州などの外需が好調であるため、売り上げは改善。最大の課題は深刻化する人手不足であり、今春は賃上げを実施し、人材確保を図る」(自動車部品製造)、「インバウンドを始めとした観光需要が堅調で、客数・客単価共に増加した。だが、人手不足がますます深刻化しており、今後は休館日を増やさざるを得ない」(宿泊)といった声が聞かれた。
先行きについては、先行き見通しDIがマイナス13・0(2月比プラス4・1ポイント)と改善を見込むものの、「悪化」から「不変」への変化が主因であり、実体はほぼ横ばい。消費の持ち直しやインバウンドを含めた観光需要拡大、生産や設備投資の堅調な推移などへの期待感がうかがえる。他方、人手不足の影響拡大や、原材料費・燃料費の上昇、コスト増加分の価格転嫁の遅れ、株価急落など不安定な金融市場の影響を懸念する声も多く寄せられており、中小企業の業況感はほぼ横ばいで推移する見通しだ。
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